追突事故を防止するには
2026年8月号
今月のクイズ
追突事故は事故類型別で最も多く、交通事故の中でも身近な事故の一つです。誰もが加害者になり得ますが、その多くは後続車側の不注意や過失によるもので、要因を正しく理解し、日頃の安全意識や運転習慣を見直すことで防ぐことができます。今月は、追突事故の要因や特徴を踏まえ、防止策を考えてみましょう。
追突事故の実態と要因
2025年に発生した交通事故のうち、追突事故は28.0%を占め、最も多い事故類型となっています。高速道路ではその割合は70.4%と、さらに高くなります*1。追突事故は先行車の急停止やブレーキ操作のミスが原因と考えられがちですが、実際には後続車側の見落としや思い込み、判断の遅れといった認知・判断ミスが主な要因です。法令違反別では「脇見運転」が最も多く、「動静不注視」「漫然運転」「操作不適」が続きます。これら4つで全体の約9割を占めており、それぞれの傾向を理解し、安全意識を高めることが追突事故の防止につながります。
- 脇見運転
- スマートフォンやカーナビ、外の景色等に気を取られ、進行方向から視線をそらす行為で、「ながら運転」もその一つです。ほんの一瞬でも前方の状況が大きく変化して、危険に気付かなかったり、気付いても対応が遅れたりして、追突事故につながることがあります。
- 動静不注視
- 他の車両や歩行者、自転車等の存在を認識しながらも危険はないと思い込み、その動きや状況の変化への注意を怠ることです。例えば、前方の信号が黄色に変わった際、先行車が減速・停止する可能性があるにもかかわらず、「まだ進めるだろう」と判断し、先行車のブレーキランプや動きを確認しないまま進行してしまい、追突事故につながることがあります。
- 漫然運転
- 考え事をしたり、ぼーっとしたりして集中力や注意力が低下した状態で運転することです。前方を向いていても危険を十分に認識できず、周囲の変化を見落としたり、ブレーキ操作が遅れたりします。渋滞時は低速での進行と停止を繰り返すため集中力が低下しやすく、漫然運転に陥りがちです。
- 操作不適
- ハンドルやブレーキ、アクセル等の操作を誤ったり、操作が遅れたりすることです。追突事故では、特にブレーキ操作の遅れや踏み込みの弱さが事故を引き起こす要因となっています。
- *1
出典:警察庁「令和7年中の交通事故の発生状況」より
- 図1
出典:交通事故総合分析センター「交通事故統計表データ(令和7年版)」より弊社作成
追突事故を防ぐポイント
追突事故を防ぐため、次のポイントに注意し、日頃の安全意識や運転習慣を見直しましょう。特に高速道路では追突事故の割合が70%以上と高く、レジャーや帰省等で利用機会が増えるこの時期は、より一層注意が必要です。
車間距離を十分に確保する
追突事故を防ぐ上で基本となるのが車間距離の確保です。車間距離は、前方の危険に対して減速・停止するための時間と距離の余裕を確保するものです。車間距離が停止距離より短い場合、急ブレーキをかけても間に合いません。速度ごとの停止距離を参考に、常に速度に応じた十分な車間距離を保ちましょう(図2)。高速道路では、50m間隔で設置されている「車間距離確認区間」の表示板や「デリネーター(視線誘導標)」と呼ばれる道路の側方に設置された黄色や白色の反射装置を活用して距離を確認することができます。また、先行車が通過した地点に自車が到達するまでの時間で車間距離を確保する方法もあります。一般道路では2秒以上、高速道路では3秒以上を目安にしましょう。雨天時や夜間は路面状況や視認性が悪くなり、停止距離が伸びるため、通常より長めに車間距離をとることが重要です。さらに、追突事故は玉突き事故に発展する可能性もあるため、停止中も先行車の後輪が見える位置で停止し、十分な車間距離を保ちましょう。
- 図2
出典:Speed management: a road safety manual for decision-makers and practitionersより弊社作成
前方の状況を早めに確認し、適切に判断・操作する
視線と注意を前方に向け、危険を早めに認識して対応することが重要です。ただし、先行車だけに意識が向くと、その先の信号や周囲の情報を見落とし、判断や操作のミスが生じやすくなり、追突事故につながります。あらかじめ、その先の状況や数台前の車の動きまで把握し、余裕をもって減速や停止の判断・操作ができるようにしましょう。
追突されない工夫をする
追突事故の多くは後続車側に原因がありますが、事故防止には追突されない工夫も重要です。特に高速道路では走行中の車両への追突も多いため、前方の状況を早めに把握し、減速のタイミングを早めて急ブレーキを避けましょう。軽くブレーキを数回踏み、ランプを点滅させてから踏み込む「ポンピングブレーキ」は、後続車への減速・停止の合図になります。また、前方が渋滞している場合はハザードランプで後方に合図を送りましょう。特に渋滞の最後尾では追突されるリスクが高いため、ルームミラーで後続車の様子を確認することが被害軽減につながります。
安全運転支援システムを活用する
近年の車には、追突事故防止に役立つさまざまな安全運転支援システムが搭載されています。例えば、前方の障害物を検知して警報や自動ブレーキで被害を軽減する「衝突被害軽減ブレーキ」や、先行車との距離や速度をもとに車間距離を維持して走行する「車間距離制御装置(ACC)」があります。これらは運転を補助するものであり、過信せず基本的な安全運転を徹底した上で活用することが重要です。正しく活用することで、危険の早期発見や衝突の回避・軽減につながります。

追突事故は、わずかな油断や思い込みから発生する、誰もが当事者になり得る身近な事故です。だからこそ、十分な車間距離の確保や前方の早期確認、適切な判断と操作を日頃から心がけることが重要です。今一度、自身の運転行動を見直し、事故防止に向けて取り組みましょう。
今月のクイズの答え
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(1)
15.2%
- 出典:
交通事故総合分析センター「交通事故統計表データ(令和7年版)」より
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