火災保険の保険金とは?対象条件を紹介
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火災保険の保険金とは
火災保険とは、火災だけでなく風災や水災といった自然災害などの偶然な事故により、建物や家財に生じた損害を補償する保険です。損害が発生した際の修理費用に対して、損害保険金が支払われます。
火災保険における保険事故の種類
火災保険の補償の内容は、火災だけでなく、風災や水災などの自然災害や落下物の衝突による損害など幅広い分野をカバーできます。火災保険の補償の内容には、以下の項目が挙げられます。
- 火災、落雷または破裂もしくは爆発
- 風災、雹(ひょう)災または雪災
- 水災
- 盗難
- 給排水施設事故の水漏れ等
- 車両または航空機の衝突等
- 建物の外部からの物体の衝突
- 騒擾もしくは労働争議等
- その他偶然な破損事故等
火災保険では上記に記載された偶然な事故のうち、ご契約上で補償の対象としている事故によって建物や家財といった保険の対象について生じた損害に対して、修理費を損害保険金としてお支払いするものです。
損害保険金と費用保険金の違い
損害保険金と費用保険金は、支払われる保険金の対象が異なります。
損害保険金は、火災保険の対象である建物もしくは家財などの損害に対して支払われる保険金です。
一方の費用保険金は、事故に伴う諸費用に対して支払われる保険金です。
損害保険金と費用保険金は保険会社によって補償内容が異なるほか、特約などのラインナップも保険会社によって異なるため、事故が発生した際に必要(保険でカバーしたい)となる費用をあらかじめ保険会社や代理店に相談し、定期的にご契約内容を見直しておくことが大切です。
保険金がもらえないケースとは
保険金が支払われないケースがあります。
建物の老朽化が原因で被害を受けた際や定められた申請期限を過ぎてから申請を行った場合は、保険金を受け取れないこともあります。
被害を受けたら必ず保険金を受け取れるのではなく、保険会社による事故や損害の事実確認を行い、保険金のお支払いの対象となるか決まります。
保険金の申請期限に注意が必要
保険には申請期限が設けられており、期限を過ぎてしまうと保険金が支払われないケースがあります。
保険法第95条に保険給付を請求する権利について3年間行使しないと時効によって消滅すると定められています。
そのため、被害が生じた際にはご契約上で対象となる事故かご確認をいただき、不明な場合であっても保険会社や保険代理店に早めに相談しましょう。
経年劣化や老朽化による損害
自然災害などの偶然な事故が原因ではなく、屋根や外壁の老朽化が原因で損害が発生した場合は、保険金が支払われないことが一般的です。
火災保険は火災や風災などの偶然な事故を補償の対象としていますが、保険金をお支払いしない場合に自然の消耗または劣化による損害と規定しています。
例えば経年劣化が原因で発生した雨漏りの修理は、火災保険が適用されません。
建物は時間が経てば必ず劣化するため、台風などの風災を何度も経てある日雨漏りが発生したとしても、10年以上塗装などのメンテナンスをしていない建物は、経年劣化と診断される可能性があり、このようなケースは支払い保険金額の減額や支払い対象にならないケースがあります。10年に一度は塗装を実施するなど定期的なメンテナンスを忘れないようにしましょう。
故意または重大な過失による損害
故意や重大な過失により建物や財産に損害を与えた場合は、補償対象としている事故であっても保険金が支払われないケースに当たる可能性があります。
風災被害額20万円未満のケース
台風などの風災による災害で建物に損害が生じた際に、その損害の額が20万円以上となった場合に保険金をお支払いする「20万円フランチャイズ方式」(20万円未満だと保険金のお支払い対象外)と呼ばれるケースがあります。ご加入いただいているご契約においてこの規定が設けられているか、加入している火災保険の内容を確認しておくと安心です。
火災保険の保険金支払い対象となる代表的な例
火災保険は火災によって被害を受けた建物や家財だけでなく、ひょうや雪、洪水などの自然災害や車両の衝突や盗難による被害など幅広い事故を補償の対象とすることができます。
自然災害などの補償が付いている
火災保険では火災だけでなく風災、ひょう災や雪災といった自然災害による事故に対する補償が付いています。そのため火災保険に加入すると火災だけではなく、ご契約上で補償の対象とする自然災害などの偶然な事故によって損害が生じた場合は保険金の請求を行うことができます。
火災だけでなく自然災害などによる損害でも補償を受けられるため、幅広い災害リスクに備えることができます。
対象となる被害を受けている
火災保険は契約上の補償の対象とする事故による損害を補償する保険です。火災だけでなくひょう災や雪災、車両の衝突など多岐にわたる範囲をカバーできます。しかし、地震もしくは噴火またはこれらによる津波によって生じた損害は火災保険では補償の対象とはならないため、火災保険とセットで地震保険に加入する必要があります。
保険契約時には補償の対象とする事故を確認し、地震保険とのセットで加入するなど十分に検討した上で契約をすることが大切です。
保険金支払対象となるケースとは
保険金の支払い対象となる事故は、ご契約上で補償の対象としている事故に限られます。補償の対象としていない事故による損害は、保険金のお支払いの対象外となります。
また、地震が原因で発生した噴火や津波により、建物や家財に生じた損害に対しては、地震保険が適用されます。火災保険と地震保険を組み合わせて加入しておくと、支払い対象となる事故の範囲が広がります。
どのくらい火災保険で支払われるか
火災保険の支払限度額は、保険の対象となる建物等の構造や規模等が同一のものを再築または再取得するのに必要な金額を評価した「再取得価額」をもとにご契約時に支払限度額(保険金額)を設定します(保険の種類や内容によって異なる場合があります)。
支払保険金はどのように決まるのか
お支払いする保険金は、原則損害が生じた物を復旧するために必要な修理費から、ご契約上の免責金額を控除した金額を損害保険金の額として算出します。
ただし、火災保険の種類やご契約の内容によって、損害保険金の算出方法が異なる可能性もあるほか、費用保険金や特約によりお支払いする金額が異なることもあります。
支払保険金は2つの審査基準により金額が決定します。火災保険は利得禁止の原則により、保険金額の範囲内で保険価額を上限とした実損額が、損害保険金として支払われます。
(1)保険価額
保険価額とは、発生した損害について金銭的に評価した金額を差します。建物や家財は老朽化などによって購入時よりも価値が下がっていくため、価値を正しく査定します。
(2)保険金額
保険金額とは、保険契約において約束されている金額を差します。火災保険の保険金額とは、契約時に設定する損害保険金の限度額です。
ご契約上の保険の対象
保険加入時に保険の対象を建物のみとすることや、家財のみ、または建物と家財の両方を保険の対象とするご契約内容の選択が可能です。
そのため、保険の対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」とする3つの選択肢から選択することができます。
建物を保険の対象とした場合は、建物のほか門や車庫も原則保険の対象に含まれます。
家財はテーブルや椅子をはじめとした建物内に収容される生活用の動産が対象となります。
被害の状況
損害箇所の写真や見積書の内容を踏まえ、支払保険金が決定します。
保険金の額は、被害の程度に応じて、再取得価額を限度に算出されます。
火災保険の保険金を請求してデメリットはあるのか?
自動車保険では等級による割引制度があるため、事故の保険金支払実績によって保険料が上がることがあります。
火災保険ではそのような等級制度がないので、申請の回数が保険料の増額に影響することはありません。
そのため火災保険で補償の対象としている事故が原因で損害を受けた場合には、早急に申請することがおすすめです。
保険加入者が火災保険を請求する際は、加入する保険会社か代理店に問い合わせをしてみてください。
火災保険の保険金に税金はかかる?確定申告は必要?
保険加入者が個人の場合で非課税対象の場合は、確定申告を行う必要はありません。
火災保険の保険金はいつ支払われる?
火災保険の支払い保険金は、事故発生後に写真や見積書などの必要書類をご提出いただいたあと、問題がなければお支払いされます。
自然災害などの事故発生後に保険金の請求手続きを行い、必要に応じて現場立会による被害状況などの確認を行います。
保険金の請求に必要な書類の提出等が完了してから、保険金がお支払いされるまでにおよそ1カ月の期間がかかります。ただし、提出いただいた写真や見積書の内容で問題がなければ、お支払いされるまでの期間は短縮する可能性があります。一方で、現地立会による確認が必要であると判断された場合はお支払いまでの期間が延長する可能性もあり、また大規模災害時などの場合は1か月以上かかる場合もあります。
火災保険の保険金は自分で申請できる?
火災保険の保険金請求は、被保険者本人が申請を行うことが一般的です。
保険金請求書などの申請書類は被保険者本人が作成し、記載情報に間違いや漏れがないか確認した上で提出します。
もちろん、自分だけで書類を作成するのが不安な場合は、加入する保険会社や代理店に相談してみましょう。
火災保険の保険金を自分で申請する時のポイント
火災保険の保険金請求を自分で行う場合は下記の2つを心掛けましょう。
- 加入している保険契約の内容の確認
- 申請可能期限までに申請を行う
法律上、事故発生から3年以内に保険金請求を行う必要があり、期間を超えると申請を受け付けてもらえない可能性も。加入している保険内容を確認し、申請可能期限までに保険金請求を行いましょう。
まとめ
建物や家財に生じた損害を補償する火災保険は、火災だけでなく風災や水災などの自然災害などの偶然な事故が対象になります。
保険金の請求にあたり、事故発生から3年以内に保険金請求を行う必要があります。
「火災保険に加入し、その補償内容をしっかりと理解しておくことで、万が一の被害に備えることができます。
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