火災保険における保険金の請求方法を解説!災害別のフローや必要書類の書き方を確認
- 住まい
「火災保険の保険金の請求って難しそう…」
「保険金請求の必要書類ってどのように準備すればいいの?」
火災や自然災害により、建物や家財に損害が発生し、落ち着かない状況の中、慣れない火災保険金の請求に戸惑ってしまっていませんか?
あまり経験がなく慣れない火災保険金の請求でも、落ち着いて情報収集すればスムーズに手続きが進みます。
本ページを読めば、保険金請求を進めるにあたり知っておくべき情報が分かるでしょう。
このページでは、火災保険の保険金を請求する前に確認すること、保険金の請求の一般的な流れについて紹介します。
保険金請求手続きで必要となる書類の書き方、申請に関するQ&Aも紹介しておりますので、ぜひ最後までご確認ください。
火災保険の保険金の請求前に補償内容と補償対象を確認
火災保険の保険金を請求する前に、まずはご加入している火災保険のご契約内容において、下記の2点について確認しましょう。
- 補償の内容
- 保険の対象
上記のポイントを押さえておくことで、火災保険の保険金を請求することができるかといった検討の材料となります。
火災保険の補償の内容
加入している火災保険の補償の内容を確認してください。
火災保険では「火災や落雷、破裂・爆発」はもちろんのこと、自然災害のほかに盗難や水濡れを担保する補償など、必要に応じて選べる補償があります。
火災、落雷または破裂もしくは爆発 | 火災や落雷、破裂・爆発による損害を補償します。 |
---|---|
風災、ひょう災または雪災 | 台風による風災や、ひょうまたは雪災による損害を補償します。 |
水災 | 豪雨や台風による洪水などが原因で発生した床上浸水・土砂崩れなどによる損害を補償します。 |
盗難 | 空き巣による盗難などの損害を補償します。 |
給排水設備事故の水濡れ等 | 給排水設備からの漏水等による水濡れの損害を補償します。 |
車両または航空機の衝突等 | 車両の衝突や航空機の接触、積載物の落下による衝突などの損害を補償します。 |
建物の外部からの衝突による破損 | 建物外部から物体が落下・飛来・衝突したことによる損害を補償します。 |
騒擾(そうじょう)・集団行為等に伴う暴力行為による損害 | 労働争議に伴う暴力・破壊行為などにより建物や家財に生じた損害を補償します。 |
その他偶然な破損事故 | 上記以外の不測かつ突発的な事故による損害を補償します。 |
火災保険の対象
火災保険では、保険の対象となる建物や家財を選択して加入することになるため、ご自身の火災保険では「何が」保険の対象となっているかを確認しておく必要があります。
保険の対象が分からないと、保険金の請求の対象か判断ができないことになります。
選択できる保険の対象は、主に「建物・家財の両方」「建物のみ」「家財のみ」の3種類です。
続いて、実際に発生した事故が火災保険のご契約上で補償の対象としている事故に当てはまるかも確認しましょう。
(1)建物(屋根・外壁等)や家財の損害がご契約上の補償対象としている事故によるものであること
前提として、火災保険は「火災や自然災害などの偶然な事故による損害を補償する」保険です。
あとは、加入している火災保険のご契約において、「盗難」や「建物の外部からの物体の衝突等」などの事故も補償の対象としていれば、それらのケースによる損害も対象となります。
なお、ここでいう自然災害とは「風災、ひょう災または雪災」「台風や豪雨などの洪水等による水災」を指します。
地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害は補償対象とはなりません。
地震などによって生じた損害を補償したい場合は、火災保険に地震保険を別途追加する必要があります。
(2)原則として事故が発生してから3年以内に申請を行うこと
火災保険は、原則として事故が発生してから3年以内に請求する必要があります。
事故が発生してから時間が経過すると、損害の状態が変化することに伴い、原因となった事故の判定が困難となったりするなど、保険金の支払い対象となるかの判断が難しくなります。
事故が発生した場合は、なるべく早めに申請を行うことが大切です。
(3)損害の補修にかかる費用が火災保険の免責金額を超えること
免責金額とは、「この額まではご自身で負担してください」という額です。
保険金は、この免責金額が差し引かれた額が支払われるため、損害の修理費用が免責金額を超えることが必要です。
【5ステップ】火災保険の保険金請求の基本的な方法
火災保険の保険金請求前に確認すべきことが分かったら、保険金請求の基本的な方法についてご紹介します。
下記の5ステップで、保険金を請求しましょう。
-
1.
保険会社や保険代理店に連絡
- 2.
必要書類の準備
-
3.
必要書類の提出
-
4.
保険会社による損害状況の調査
-
5.
保険金の受け取り
スムーズに保険金を請求するために、それぞれ説明します。
1.保険会社や保険代理店に連絡
事故が発生し、保険の対象に損害が生じたことを確認したら、まずはご加入している保険会社もしくは保険代理店に連絡しましょう。
連絡先は、保険証券や保険会社のホームページなどに記載されています。
当社ではネットでも事故の受付をしていただくことが可能です。
事故報告の際は、主に以下のことをお伺いします。
- 契約者氏名、住所、電話番号
- 証券番号
- 事故の日時、場所、状況
- 損害の程度 など
事故報告の後、保険会社から保険金請求書などの必要書類が送られてきます。
また、最近は一部の悪質な「火災保険請求申請サポート業者」によるトラブルが増加しています。
このトラブルは、本来は火災保険の対象とはならない損害に対しても「保険金が使える」と虚偽の勧誘をし、高額な手数料等を請求してくるというものです。うその理由で保険金請求をすると、知らない間に保険金詐欺に加担してしまうことになりかねません。
トラブルを防ぐためにも、事故が発生し、保険の対象に損害が生じたことを確認したら、まず保険会社や保険代理店に連絡してください。
2.必要書類の準備
保険金請求手続きにあたり、必要となる書類を準備します。
保険会社から送付される保険金請求書のほか、
- 損害箇所の写真
- 修理の見積書
などが必要となります。
修理を行う場合は、事故報告を分かりやすく伝えるために、損害の程度が分かる写真を早めに用意しておきましょう。
3.必要書類の提出
用意した必要書類を保険会社へ提出します。
提出には返信用封筒を使用して返送するか、もしくはインターネット上で書類の写真をアップロードして提出完了とすることも可能です。
4.保険会社による損害状況の現地調査
必要書類を提出した後に、保険会社による損害状況の確認のため、現地調査が実施されることがあります。
現地調査には保険会社から「損害保険登録鑑定人」と呼ばれる専門の資格を有した専門家がお客様を訪問し損害状況を確認する場合があります。
損害保険登録鑑定人とは、建物や動産の保険価額(価値)の算出、損害額の鑑定、事故の原因・状況調査などを行う専門家です。
写真から損害状況が十分に確認できるケースや、見積書の修理内容や範囲などの妥当性が書面で確認できるケースなどは、鑑定人が派遣されないこともあるため、現地調査の実施についてはケースバイケースとなります。
5.保険金の受け取り
保険会社から支払われる保険金が決定すると保険金請求書の振込先などに指定した金融機関の口座に入金されます。
保険会社は、保険金について被保険者の了解を得てから支払い手続きに進みます。
保険金の支払明細は、後日保険会社から送られてきますので、不明な点や誤りがないか確認しましょう。
【自然災害別】火災保険の保険金請求(建物の場合)の一般的な流れ
続いて、自然災害別の保険金請求の一般的な流れについてもご紹介します。
今回は下記2つの自然災害を例として保険金請求の流れを解説しましょう。
- 風災・ひょう災・雪災
- 水災
どちらも実際に請求するケースが十分に考えられるので、それぞれ説明します。
風災・ひょう災・雪災における保険金請求の場合
風災やひょう災、雪災では、主に以下の情報を基にしてお支払いする保険金が確定されます。
- 損害状況の写真
- 修理の見積書
事故が発生し、保険の対象に損害が生じた場合は、保険会社に連絡すると同時に修理業者の見積りを取り付けましょう。そして、被害箇所を片づける前に、損害状況の写真を撮っておくと良いです。
保険金の請求フロー(風災・ひょう災・雪災)
風災・ひょう災・雪災の保険金請求フローをまとめると、以下のとおりです。
-
1.
保険会社または保険代理店に事故の連絡を行う。
- 2.
修理業者へ見積もりを取り付ける。損害状況の写真を残しておく。
-
3.
保険金請求書類を受け取る。
-
4.
保険金請求に必要な資料などを準備。保険会社に提出する。
-
5.
保険会社は支払保険金を算出し、被保険者に確認を行う。
-
6.
保険金を受け取る。
水災における保険金請求の場合
台風や豪雨に伴う洪水による浸水や土砂災害による損害は、「水災」事故として火災保険の補償の対象となります。
水災では、訪問による損害調査が行われることが多いため、保険会社に事故報告をした後は、保険会社と訪問の日程調整をする必要があります。
訪問がある場合は、訪問時に保険金請求書類作成の説明を受けることもできます。
また、水災の場合も同様に、事故状況の記録を残しておきましょう。
例えば、浸水被害を受けた場合は、浸水した跡にメジャーを当てて、浸水の高さが分かるように写真を残しておきましょう。
様々な角度、距離から複数枚撮影することで、より分かりやすく記録しておくことをおすすめします。
保険金の請求フロー(水災)
水災の保険金請求フローをまとめると、以下のとおりです。
-
1.
保険会社または保険代理店に事故の連絡を行う。
- 2.
被害場所を片づける前に損害状況の写真を残しておく。
-
3.
訪問の損害調査の日程調整をする。
-
4.
保険金請求書類を受け取る。
-
5.
訪問による損害調査を受ける。
-
6.
保険金請求に必要な資料などを準備。保険会社に提出する。
-
7.
保険会社は支払保険金を算出し、被保険者に確認を行う。
-
8.
保険金を受け取る。
また、保険金の支払いまでにかかる期間は事故内容によって様々ですが、申請後から1カ月程度かかるケースもあることから、保険金の請求は早めに済ませておきましょう。
保険金の申請書類(保険金請求書)の書き方
続いて、保険金の請求に欠かせない「保険金請求書」の書き方について解説します。
この書類には、契約者の基本的な情報を記入します。今回は特に下記の欄に関する書き方を解説しましょう。
- 「保険金請求者」欄
- 「ご契約内容」欄
- 「保険金振込先」欄
- 「事故の内容」欄
滞りなく保険金請求書を書くために、それぞれ説明します。
1-1.「保険金請求者」欄の書き方
保険契約の被保険者の氏名・住所・連絡先を記入します。被保険者とは、保険の対象の所有者でありご契約上の被保険者の方となります。
原則として被保険者本人が署名・記入してください。
事情により本人の自筆が難しい場合は、法定代理人や法定相続人が記入する場合もあります。
1-2.「ご契約内容」欄の書き方
ご請求する保険証券を記入するための欄です。
他の保険会社で、補償対象を同じとする別の火災保険に加入している場合は記入する必要があります。他の保険会社でも火災保険に加入している場合においても、お支払いされる保険金は実際の損害額が上限となります(重複してお支払いはされません)。
1-3.「保険金振込先」欄の書き方
保険金の振込先となる金融機関の口座を記入しましょう。
振込口座が修理業者など「保険金請求者」と異なる場合は、振込先の情報を保険会社へ連絡する必要があります。
2-1.「事故の内容」欄の書き方
事故の発生日・発生場所・発生状況を記入します。
事故の内容を説明する書類なので、事実を正しく記入することが重要です。
2-2.「損害品明細書」欄の書き方
家財などの損害について保険金を請求する場合に記入する必要があります。
被害を受けた品名(メーカー・型式)や、損傷箇所・状況、購入時期や購入先、購入した際の価格などを記入します。
修理の見積りがある場合は、金額が確認できるよう合わせて提出しましょう。
火災保険の請求に関するQ&A
火災保険の請求に関するよくある質問についてお答えします。
気になる質問があれば、ぜひ参考にしてください。
火災保険の保険金請求に期限はありますか?
保険法第95条に基づき、火災保険の保険金請求期限は、原則として事故が発生してから3年以内と定められています。
期限が決められている理由は、事故が発生してから時間が経過すると事故の原因などの判定が困難になり、保険金の支払いが難しくなるためです。
保険金を請求する際は、加入する火災保険の約款を確認したり、保険会社に問い合わせたりしてから請求を行いましょう。
保険金の支払い対象外になるケースはありますか?
加入する火災保険のご契約で補償の対象としていない事故による損害に対しては、当然ながら保険金の支払い対象外となります。
あらかじめ保険証券を確認し、どのような補償の内容になっているかを確認しましょう。
また、「経年劣化」や「故意・重大な過失による損害」などの場合も支払いの対象外です。
保険約款(「ご契約のしおり」)には、上記を含めた「保険金が支払われない場合」について記載してあります。
見積書はどのように依頼すればよいですか?
火災保険の請求では、修理見積書が必要です。
この見積書が、保険金支払いをスムーズに進めるために重要となります。
修理の見積書を用意するにあたって、特に下記の3つの点に注意してください。
- 信頼できる業者に依頼する:悪質な火災保険申請サポート業者が紹介するリフォーム業者等によるトラブルを避ける。
- 詳細に記載する:一式等の修理代の総額のみでなく、修理内容や部品材料の単価・数量まで詳細に分かるものを用意する。
- 見積内容の修理対象や範囲が過剰なものになっていないか確認する:支払いの遅延などを避ける。
火災保険の請求に関する注意点
火災保険の保険金請求を検討するものの、補償の対象となるのかが最も気になるところ。
そこで、火災保険の保険金を請求するうえで注意するポイントをお伝えします。
火災保険の請求が認められない場合について
以下の一例のように、火災保険の請求が認められない場合があります。
- 経年劣化を原因とする損害
- 火災保険のご契約上で補償対象としていない事故による損害の場合
- 故意や重大な過失による損害の場合
それぞれ説明します。
経年劣化が原因の損害
例えば外壁や屋根に、劣化によってひび割れが生じたケースや、劣化した部分からの雨漏りなど、保険の対象の経年的な劣化が原因で生じた損害に対しては、保険金のお支払いの対象とはなりません。
火災保険は、偶然な事故による損害を補償するため、「時間の経過による損害」は補償対象外と規定されています。
経年劣化は火災保険では補償されないため、日ごろから建物等のメンテナンスを行っておきましょう。
火災保険のご契約上で対象とする事故とは別の原因の場合
火災保険では補償の対象とする事故のうち、「水災」や「盗難」など一部の事故を任意に補償の対象外とすることも可能となっています。
補償の対象とはしていない事故が原因の場合、当然ながらお支払いの対象外となります。
万が一の場合の補償漏れがないよう、火災保険を契約した後でも補償内容を定期的に見直すことが大切です。
なお、地震もしくは噴火またはこれらによる津波が原因の場合は、火災保険の補償対象外となります。
これらの地震などに備える場合は、地震保険に加入する必要があります。
地震保険は火災保険に別途追加する形になるため、ご契約に加入いただく際や既にご加入いただいている契約を見直す際には注意しましょう。
故意や重大な過失がある場合
契約者や被保険者、その同居の親族による故意もしくは重大な過失によって損害が発生した場合はお支払いの対象外となります。
例えば「保険金目当てでわざと放火した」といったケースは、保険金が支払われません。
まとめ
今回は、火災保険の保険金請求の方法についてご紹介しました。
火災保険では加入しているご契約の補償内容によっては、発生した事故が補償対象外となっていることがあります。
保険金の請求手続きを行う前に、まずはご加入されているご契約の内容を確認しましょう。
また、事故の原因によって、保険金支払いの対象外に当てはまるケースもあります。
あらかじめ保険約款(保険会社によっては「ご契約のしおり」と呼ばれるもの)を確認することも大切です。
保険金申請手続きの必要書類は、情報収集しながら記入すれば、保険金支払いまでスムーズに進みます。
落ち着いて記入して、保険金を受け取りましょう。
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