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感染症の被害

感染症によって起きる被害

感染症の原因となる細菌やウイルスは目に見えない小さいものです。しかし、感染してしまうと熱や咳など辛い症状に悩まされ、中には重症化して死に至る場合もあります。家庭や学校・会社などにとどまらず、感染が広範囲に広がり、社会問題になることさえあるのです。

新型コロナウイルス


国立感染症研究所より

新型コロナウイルスはコロナウイルスのひとつです。コロナウイルスには、一般の風邪の原因となるウイルスや、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスが含まれます。

新型コロナウイルスに感染した人は、軽症で済む、自然に治癒する人が多い一方、重症化すると、風邪症状が出てから約5~7日程度で症状が急速に悪化し、肺炎に至ると言われています。肺炎が重篤化した場合は、人工呼吸器など集中治療が必要となります。感染した場合の症状として、発熱や呼吸器症状が1週間前後つづいたり、味やにおいが判りにくくなったり、強いだるさを訴えることがあります。高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)を有する人は、重症化するリスクが高いと言われていますが、若年層でも、サイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応を起こして重症化する事例があります。(2022年3月時点)

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)別窓で開きます。厚生労働省ホームページより弊社作成

インフルエンザ

インフルエンザは毎年冬になると、その猛威を振るいます。インフルエンザの感染力はとても強く、日本では毎年約1,000万人(約12人に1人)が感染しています。また、いったん流行が始まると短期間に多くの人へ感染が広がります。

一般的な風邪とインフルエンザは、のどの痛みや鼻水、咳などの症状が似ているため、混同してしまうケースも少なくありません。しかし、一般的な風邪は熱がさほど上がらず、全身症状があまり見られないのに対して、インフルエンザは38℃以上の熱や、頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状が、突然あらわれます。

特に高齢者、乳幼児、妊娠中の女性などは、症状が重症化してしまう危険性が高いので、注意が必要です。

新型インフルエンザ

国立感染症研究所より

インフルエンザにかかると、その原因となったウイルスに対して抵抗する力(免疫)が高まります。そのため、従来のインフルエンザに対しては、多くの人が免疫を持っているのです。
しかし、2009年の春に発生した新型インフルエンザは、その前年まで一度も流行したことがない、新しいタイプのウイルスが原因となったものでした。そのため、誰もが免疫を持っていなかった新型インフルエンザは全世界的に大流行しました。わが国では約2,000万人が感染したとされていますが、患者の大半は小児でした。また、この新型インフルエンザは、2011年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われることになりました。

インフルエンザQ&A別窓で開きます。厚生労働省ホームページより弊社作成

感染性胃腸炎・食中毒

病原性を持つ大腸菌(O-157など)や、ノロウイルス、アデノウイルスなどによって、感染性胃腸炎が起こります。腹痛、嘔吐、下痢が主ですが、場合によっては血便になることもあります。高齢者や乳幼児は脱水を起こしやすいので注意が必要です。トイレの後の手洗いや食べ物の加熱処理が有効です。とくにノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。ノロウイルスは、手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な人は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。ノロウイルスはワクチンがなく、治療は輸液などの対症療法に限られます。

ノロウイルスに関するQ&A別窓で開きます。厚生労働省ホームページより弊社作成

ブドウ球菌の毒素によって引き起こされる食中毒は、加熱しても予防できません。ブドウ球菌は傷口にいることが多く、手に傷があるときの調理を避けると良いでしょう。また、使い捨ての調理用手袋などを使いましょう。

風しん・麻しん

風しんは、急性の発疹性感染症で、風しんへの免疫がない集団において、飛沫感染によって1人の風しん患者から5~7人にうつす強い感染力を有します。感染すると約2~3週間後に発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、発疹の出る前後約1週間は人に感染させる可能性があります。
症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、小児より重症化することがあります。また、風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が感染すると、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。

麻しんは、急性の全身感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染によって人から人へ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎や中耳炎を合併しやすく、患者千人に一人の割合で脳炎が発症すると言われています。
風しんと麻しんどちらも、ワクチンが有効で、混合ワクチンが用いられています。

風しんについて別窓で開きます。厚生労働省ホームページより弊社作成

麻しんについて別窓で開きます。厚生労働省ホームページより弊社作成

蚊やダニからの感染症

国内でもツツガムシ病や日本脳炎、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)がときどき発生しています。ツツガムシ病は治療薬があり、日本脳炎はワクチンが有効ですが、SFTSには治療薬がないので虫に刺されないように予防が大切です。
国外の亜熱帯・熱帯地域を中心に感染者数が多いデング熱やマラリアは検疫感染症に指定されています。デング熱は日本国内で感染した症例は、2013年より過去60年以上報告されていませんでしたが、近年では海外の流行地で感染し帰国した症例が毎年200名前後報告されています。

デング熱に関するQ&A別窓で開きます。厚生労働省ホームページより弊社作成

集団感染

多くの人が集まる場所では、発病者から他の人へ感染する「二次感染」が発生しやすくなります。感染症が流行しているときは、人混みを避けて行動したほうが良いでしょう。

特に、幼稚園や保育園、養老施設や介護施設など、免疫力が低い幼児や高齢者が利用する施設は、感染症の集団発生に厳しく注意しなくてはなりません。

災害時に開設される避難所も、結核などの集団感染が発生しやすい場所です。
感染を拡大させないための対策については、「感染症への対応」をご覧ください。

新型コロナウイルスにおけるクラスター感染

クラスターとは「同種のものや人の集まり。群れ。集団。」を意味し、新型コロナウイルスにおいてクラスターとは患者集団を指します。
クラスターの発生により、 連続的に集団発生が起こり(感染連鎖の継続)、大規模な集団発生(メガクラスター)に繋がる可能性があります。クラスターが形成されなければ感染の連鎖は維持されないことになります。そのため、 クラスター形成の機会を減らすことができれば、新型コロナウイルスの感染拡大を相当程度抑えることが可能であると考えられます。クラスターの発生場所に共通する環境因子として、国内では多くの感染伝播が「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話や発話をする密接場面」、いわゆる「3つの密」と呼ばれる特定の環境で発生したことが、流行の早い段階から明らかとなりました。これらの場所・環境・行動を徹底的に避けることでクラスターの発生を予防することができると考えられています。(2020年7月現在)

「新型コロナウイルス感染症クラスター対策」国立感染症研究所より弊社作成

被災地での感染症

古い釘が刺さったりすると破傷風になることがありますが、怪我をした後でもワクチンで発症を予防することが出来ます。このような怪我をした際は早めに医師や看護師に相談しましょう。災害時における感染対策については、「感染症への備え」をご覧ください。

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