火山噴火への備えは大丈夫?
活火山は、噴火していない時間の方が圧倒的に長いことも事実です。しかし、ひとたび噴火すると、噴石や火砕流などが短時間で襲来する可能性があります。私たちは、いつ発生するかわからない火山の噴火に対して、しっかりと備えておくことが大切です。
噴火予知
*GNSS観測点:全球測位衛星システムによって観測しているポイント
(GNSS:Global Navigation Satellite System)
マグマが地下の浅い場所に上昇するとき、岩盤を割りながら上昇するため地震が発生します。また、上昇してきた際に山を膨らませるため、位置や傾斜に変化が起きます。地表では、噴気が増えたり温泉に異常が見られたりすることがあります。これらを計測・観測することで、火山活動の変化をあらかじめ知ることができます。
これらの観測精度が高まると、マグマは上昇したものの噴火には至らない現象の検知が、増える可能性があります。
噴火警戒レベル
噴火警戒レベルとは、登山者、防災機関、住民が取るべき行動を5段階のキーワード(避難、避難準備、入山規制、火口周辺規制、活火山であることに留意)で設定したものです。噴火警戒レベルは、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された50火山のうち、49火山(2022年3月現在)で運用されています。こうした情報に敏感になることが大切です。
気象庁ホームページより弊社作成
2024年2月 桜島噴火
2024年2月14日18時33分の桜島の様子 気象庁ホームページより
南岳山頂火口では、2024年2月に噴火*1が10回発生し、このうち爆発*2は3回でした。噴煙は最高で火口縁上5,000mまで上がり、弾道を描いて飛散する大きな噴石は最大で5合目(南岳山頂火口から約1,300m)まで達しました。桜島で火口縁上5,000m以上の噴煙を観測したのは、2020年8月9日5時38分に南岳山頂火口で発生した爆発による5,000m以来です。
- *1桜島では噴火活動が活発なため、噴火のうち、爆発もしくは噴煙量が中量以上(概ね噴煙の高さが火口縁上1,000m以上)の噴火の回数を計数。
- *2桜島では、火道内の爆発による地震を伴い、爆発音、体に感じる空気の振動、噴石の火口外への飛散、または、気象台や島内の観測点で一定基準以上の空気の振動のいずれかを観測した場合に爆発としています。
ハザードマップ
過去の火山活動や噴火から、噴石や火砕流などの災害がどの範囲まで及ぶか、ある程度予測することができます。それを地図で示したものがハザードマップです。あらかじめ各自治体が作成しているハザードマップで、危険な区域を確認しておきましょう。
登山時の備え
どのあたりに避難小屋や山小屋があるのか、事前に確認してから登るルートを決めましょう。また、過去に発生した噴火や災害、最新の火山活動の状況などについて、Webサイトや関連書籍で調べておきましょう。登山時には、ヘルメットやタオル、ライトなどを装備してから登りましょう。
火山ガス濃度を確認することも大切です。濃度が高い場合は山への立ち入りが制限されます。特に喘息の症状が懸念される方は注意が必要ですが、健常者でも長時間の滞在は避けることが、噴火リスクを低減する意味でも大切です。
「緊急時の避難ルート」としては、風下ではない尾根のコースをたどることが有効です。その場合、登山ルートと異なる可能性もありますので、事前に複数のルートも確認しておくことが重要になります。
また、近年の登山人気により登山を楽しむ人が増えている一方で、登山計画書(登山届)を提出せずに山に登る人の増加が問題になっています。登山計画書(登山届)が提出されていないと、万が一の緊急捜索活動が円滑に進みません。登山届制度が導入されている火山については、必ず登山計画書(登山届)を提出しましょう。
提出方法は、次の3つがあります。
- 1登山口の近くにある「登山ポスト」に提出
その場で書かず、入山前にあらかじめ書いておきましょう。 - 2事前にFAXや郵送で提出
登山山域の都道府県警察本部地域課、または山域を所管する警察署・交番・駐在所に提出しましょう。 - 3メール(インターネット)で提出
警察署によっては、メールやインターネット上から提出できる場合があります。 - 4日本山岳ガイド協会「Compass(コンパス)」
オンラインで登山計画書を作成し、提出することができるほか、作成した登山計画書を設定した連絡先に送付することも可能です。
内閣府ホームページより弊社作成
また、各登山山域の都道府県では感染対策情報も公開されていますので登山前に確認しましょう。
火山灰への備え
ひとたび火山が噴火すると、その噴火は長期間続くことがあります。特に火山灰は広範囲に飛散し、農作物の被害、家屋倒壊など、社会生活に深刻な影響を与えます。さらに、人体にもさまざまな害をもたらします。いざというときに、火山灰から自分の身を守るためにも、マスクやゴーグルなどの防災グッズを備えておきましょう。
マスク
火山灰を吸い込むと、せきや息苦しさ、のどが痛くなるなどの症状が出てくるほか、呼吸器疾患を悪化させる恐れがあります。
火山灰を吸い込まないよう、防塵能力が高いマスクを用意しましょう。
ゴーグル
火山灰は、塵のように細かい上、角が尖っているため、目に入ると角膜を傷つける恐れがあります。
火山灰が目に入らないように、防塵ゴーグルを備えておくと安心です。
レインコート
皮膚に火山灰が付くと単純に不快というだけではなく、尖った角で皮膚を傷つけることもあります。
外出時に着用できるよう、レインコートを準備しておけば、火山灰から皮膚や洋服を守ることができます。
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