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子どもが深夜に発熱…
近くに救急病院がなく、どうしたらよいかわからない場合に医療相談ができる窓口って?

出産・子育て:救急病院 医療相談

出産・子育て

かかりつけ医や近隣の医療機関が開いていない深夜や休日に、子どもの体調が悪化したらどうしたらよいのでしょう。近くに救急病院がなく、頼れる人もいない場合、途方に暮れてしまうお母さん、お父さんは多いのではないでしょうか。そんなときに頼れる医療相談サースについてご紹介します。

休日や夜間に子どもが体調を崩したら?

休日や夜間に、急に子どもの体調が悪くなることがあります。かかりつけ医や近隣の病院が休診の場合、どうしたらいいか迷ってしまうことがあるでしょう。

事例1

Aさんは、夕食後にテレビをみていた5歳の娘の様子がおかしいことに気づきました。テレビに夢中になっているのだと思っていましたが、なんだかボーッとして顔色がよくありません。呼びかけてみると反応はしますが、ぼんやりしていつものような返事ができない様子。熱を測ったところ、38.0℃だったので、慌てて布団に寝かせました。
病院に連れて行くことも考えましたが、あいにくすぐに連れて行けそうな医療機関は夜間休診中。夜間救急をやっている病院はかなり遠く、自家用車を持っていないAさんは悩みます。Aさんの夫は仕事で帰りが遅く、互いの両親も遠方に住んでいるため、誰にも相談できません。

事例2

夕食の片付けをしながら2歳の子どもがリビングで遊ぶのを見守っていたBさん。子どもが立ち上がろうとしたとき、バランスを崩して後ろに倒れ、ゴンっという音が。慌てて駆け寄ると、どうやら倒れたときに頭を軽くぶつけたようです。子どもは最初、びっくりしたのか泣きましたが、しばらくするとケロッとしてまた遊び始めました。
痛がる様子もなく、普段と変わらないように見えますが、先ほど倒れたときの音が耳から離れないBさんは、医療機関に連れて行ったほうがよいのか悩みます。自家用車はありますが、Bさんは夜に子どもと2人だけで出かけたことがなく、この時間に行ける医療機関もわからないので、どうすればよいか困ってしまいました。

事例3

生後10カ月の子どもの育児をするCさん。深夜2時ごろ、大きな声で泣く子どもの声で起きたCさんは、いつもと様子が違うのに気が付きました。照明をつけてみると、子どもの全身に真っ赤なじんましんが現れ、かゆいのか、しきりにからだをよじっています。
寝かせるときにはまったくなかったじんましんが急に生じたことでCさんは慌てます。子どもも辛そうで、なんとかしてあげたいけれど、どうすればよいのかわかりません。「病院? 救急車? こんな時間にどうすれば……。」Cさんは途方に暮れます。


こんなとき、どうしたらよいのでしょうか。
医療機関に行くか、救急車を呼ぶか、このまま様子を見るか……。迷ったときは、医療相談サービスを活用するのも一つの手です。

医療相談サービスとは

明らかに重篤な症状があったり、大きなケガをしていたりする場合、すぐに救急車を呼びましょう。しかし、「このくらいの症状で救急車を呼んでもいいのかな」と迷うことも。自分で明確な症状を訴えることのできない幼い子どもの場合はなおさら、保護者がどのように判断すべきか迷うケースが少なくありません。

そんなときに頼りになるのが、自治体や企業が行っている医療相談サービスです。電話などで医療に関するアドバイスをしてくれるサービスのことで、医師や看護師、訓練を受けた相談員などが、救急車を呼ぶべきか、救急病院に行くべきか、自宅で様子を見るべきかなどの助言や、近くの医療機関の案内などをしてくれます。
代表的な医療相談サービスには以下のようなものがあります。

子ども医療電話相談(♯8000)

休日や深夜、かかりつけ医が休診している時などに子どもの病気やケガに関連する相談をしたいなら、まずはこちら。休日・夜間の子どもの体調不良にどう対処したらよいか迷ったとき、小児科医師や看護師に電話で相談し、アドバイスしてもらうことができます。
全国同一の短縮番号「♯8000」をプッシュすると、お住まいの都道府県の窓口につながります。

救急安心センター事業(♯7119)

病気やケガで救急車を呼ぶか、医療機関を受診するかといった対処法について、医師や看護師、相談員などに電話で相談し、アドバイスしてもらうことができます。こちらの窓口は、大人の病気やケガにも対応しています。
「♯7119」(または地域ごとに定められた電話番号)をプッシュし、お住まいの都道府県の窓口に電話をかけてください。

東京海上日動のメディカルアシスト(サービス)

民間の保険商品のなかには、電話による医療相談サービスを付帯しているものがあります。ご自身が契約している保険の付帯サービスを確認してみましょう。

たとえば東京海上日動では、特定の保険商品の付帯サービスとして「メディカルアシスト」サービスを提供しています。24時間365日常駐の医師や看護師が、電話で医療相談に無料で応えてくれます。

メディカルアシストの主な特徴
  • 常駐の救急科の専門医および看護師が、緊急医療相談に24時間電話で対応してくれる
  • さまざまな診療分野の専門医が、専門的な医療・健康電話相談を受けてくれる(予約制)
  • 夜間・休日の受付を行っている救急病院や、旅先での最寄りの医療機関などを案内してくれる
  • 転院するときの民間救急車や航空機特殊搭乗手続きなど、一連の手配の一切を対応してくれる(実際の転院移送費用は自己負担)
  • がんに関するさまざまな悩みに、経験豊富な医師とメディカルソーシャルワーカーが対応してくれる

電話で相談する際に気をつけたいポイント

子どもの体調を心配し、慌てているときに電話で的確に話すのは、なかなか難しいもの。まずは落ち着いて、子どもの症状をよく観察しましょう。そして電話をかける前に、次のようなことが答えられるように準備しておくとよいでしょう。

子どもの年齢・月齢

生後3カ月以内の乳児なのか、自分で不調を訴えられる年齢なのかなど、年齢や月齢を正確に伝えることはとても大切です。慌ててしまうと、普段なら当たり前に答えられることにも戸惑ってしまうことがあるので、しっかり準備しておきましょう。

どんな症状があり、どのくらいの時間続いているか

具体的な症状と併せて、いつそれに気が付いたか、どのくらい持続しているかを、時系列に沿って正確に伝えてください。焦っているときや不安なときは、実際の時間よりも体感時間を長めに感じる傾向にあります。近くの時計などを使ってきちんと測り、経過をメモしておくとよいでしょう。

医療機関までの交通手段があるか

自家用車があるのか、タクシーが呼べるのか、子どもを連れて電車などに乗れるのかなど、医療機関へ行く場合の交通手段も確認しておきましょう。

ちなみに、電話による医療相談は、あくまでアドバイスを受けるもの。診断や薬の判断など、診療にあたる行為はできないので覚えておきましょう。

また、地域や時間帯によっては、用意された回線が埋まっているなどしてすぐに電話がつながらないこともあります。保護者の目で見て緊急性がありそうだと思ったら、電話がつながるのを待たずに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶことも考えましょう。

救急車を呼ぶかどうかの判断基準

救急車は、緊急性の高い患者さんの命をつなぐための大切なインフラです。緊急性の低い症状で救急車を利用してしまうと、本当に必要としている人が救急車を使えなくなったり、現場への到着が遅れ、救える命が救えなかったりという問題点があります。いざというときに慌てないよう、子どもにどのような症状が現れたら緊急性が高いのかを、事前に調べておくとよいですね。

こんなときにはすぐに119番!!
(15歳以下の子どもの場合)
  • くちびるの色が紫色
  • 顔色が明らかに悪い
  • 激しい咳や、ゼーゼーして呼吸が苦しそう
  • 呼吸が弱い
  • 手足が硬直している
  • 頭を痛がって、けいれんがある
  • 頭を強くぶつけて、出血が止まらない、意識がない、けいれんがある
  • 激しい下痢や嘔吐で水分が取れず、食欲がなく意識がはっきりしない
  • 激しいお腹の痛みで苦しがる
  • 嘔吐が止まらない
  • 便に血が混じった など

出典:総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」

主に上記のような症状があれば、医療機関への受診を考えましょう。受診をためらっているうちに手遅れになることを避けるため、「いつもと違うな」と感じたら、すぐに決断を。他に搬送手段がない場合、迷わずに救急車(♯119)を要請してください。


いつ起こるかわからない子どもの体調不良。「救急車を呼ぼうか、救急病院に連れて行こうか…どうしたらよいかわからない!」という保護者の強い味方となるのが医療相談サービスです。さまざまな医療相談サービスを上手に利用して、子どもの命と健康を守りましょう。日頃からこうしたサービスを確認・検討し、いざというときに焦らないよう十分に準備しておくのがおすすめです。

監修者

ファイナンシャル・プランナー 伊藤 亮太さん

証券会社時代には、営業や経営企画、社長秘書等として勤務するかたわら、投資銀行業務にも携わる。2007年にスキラージャパン株式会社を設立。資産運用と社会保障(特に年金)に強いファイナンシャルプランナーとして相談・執筆・講演を行っている。
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