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「保証」「保障」「補償」、3つのホショウの違いってなに?

保険の基礎知識

保険に加入しようと思ったとき、「保証」「保障」「補償」の3つの「ホショウ」の違いがわからず、困惑したことはありませんか? この3つの用語には、似ているようでまったく異なる意味があります。これらの意味の違いや使い分け方を知り、一見するとややこしく感じる各種保険の違いや役割を理解しましょう。

「保証」「保障」「補償」の違いって?

保険に関連する用語としてよく使用される「保証」「保障」「補償」という単語。すべて「ホショウ」と読みますが、これらはどのように使い分けられているのでしょうか。
まずは、それぞれの意味と主な使用例をご紹介します。

保証
間違いがないと請け合い、人やモノに対して責任を持つこと。
「製品の品質を保証する」、「彼の身元を保証する」のように使われます。また、「保証書」や「保証人」にもこの漢字を使います。
保障
立場や権利などを保護し、守ること。特に、現在や将来の状態を脅かされることのないよう保全するという意味を持ちます。
社会保険、社会福祉、公的扶助、保険医療・公衆衛生からなる「社会保障制度」にもこの漢字が使われ、国民の安定的生活を「保障」するものとなっています。ほかに、「国家の安全を保障する」「最低限の生活が保障されている」のように使われます。
補償
損失を補って償うこと、補填すること。特に、損害が生じたときに、金銭でその損害を埋め合わせることを指します。
「国に災害の補償を求める」「事故による損害を補償する」のように使われます。

主に年金保険で使われる「保証」

「保証」の意味は、間違いがないと約束し、責任を持つことです。これは、年金保険でよく使われます。
年金保険(個人年金保険)とは、保険の契約時に定めた年齢まで保険料を払い込んだ後、一定期間(もしくは一生涯)給付が受け取れる貯蓄型の保険です。国民年金や厚生年金といった公的年金とは異なり、自分で保険会社に契約を申し込むタイプの年金で、主にリタイア後の資金として活用されます。
年金保険には、以下の種類があります。

終身年金
年金を受け取る本人(被保険者)が生存している限り、一生涯にわたって年金が受給できます。
有期年金
年金を受け取る本人(被保険者)が生存している限り、契約時に取り決めた一定期間、年金を受給できます。
確定年金
年金を受け取る本人(被保険者)が生存している場合のほか、たとえ年金受取期間中に亡くなっても、契約時に取り決めた一定期間、年金を受け取れます。

終身年金や有期年金には「保証期間」がついた商品もあります。「10年保証期間付終身年金」などのことで、この場合、万が一被保険者が亡くなっても、保証期間中なら10年間の年金支払いを「保証」するというものです。
このように、将来支払われる金額を約束し、責任を持つという意味で「保証」が使われます。

主に生命保険で使われる「保障」

「保障」には、権利などを保護し、脅威に脅かされることなく安定した状態を保全するという意味があります。これは、生命保険でよく用いられます。
生命保険とは、生命に関わる事態を「保障」するものです。被保険者が亡くなった場合の死亡保障に加え、病気やケガをしたときの医療保障、要介護になった場合の介護保障などを含むこともあります。
生命保険に加入していれば、予期せぬ事態に遭遇した場合にまとまった金額を受け取ることができ、家族の生活を守ることができます。
このように、死亡などの不測の事態に備え、自分や家族を経済的な脅威から守って生活を保全するという意味で「保障」が使われます。

主に損害保険で使われる「補償」

「補償」には、損害が生じたときにそれを補填し、埋め合わせるという意味があります。そのため、損害保険でよく使われる用語です。
損害保険とは、偶然のリスクによって生じた損害をカバーするための保険です。個人向けの損害保険には、自動車保険や火災保険、地震保険、傷害保険などがあります。また、法人向けの損害保険には、企業財産の保険や賠償責任の保険、船舶・貨物・運送に関する保険などがあります。
一定額の保険金が保障される生命保険とは異なり、損害保険では損害額によって補償される金額が変わる「実損払方式」が中心になっています。このように、生じた損害を埋め合わせるという意味で「補償」が使われるのです。

「保証」「保障」「補償」と併せて知っておきたい用語

保険を検討したり、契約したりするときによく見かける「保証」「保障」「補償」ですが、これらと同様によく使われる用語があります。以下の用語の意味も併せて押さえておきましょう。

賠償(ばいしょう)
他人に与えた損害を償うことです。「損害賠償」は、なんらかの原因で他人に損害を与えてしまった場合に、被害者に対してその損害を補償することを指します。
自動車保険や火災保険の特約として契約することの多い「個人賠償責任補償特約」は、自身の過失によって他人に損害を与えてしまった場合に備える保険です。相手にケガをさせてしまったり、相手の持ち物を破壊・汚損してしまったりした場合の損害賠償の費用などを補償します。
弁償(べんしょう)
他人に与えた損害に対して、金銭や物品で償うことです。賠償と似ていますが、賠償が比較的規模が大きい損害や法的義務がある場合に使われるのに対し、弁償は比較的規模が小さい、個人間のやりとりなどに使われることが多いようです。
担保(たんぽ)
将来、発生するかもしれない不利益に備え、あらかじめ補填として準備しておくことです。抵当ともいい、「土地を担保に借金をする」のように使います。
特に保険分野では、損害保険などにおいて「補償される」ことを意味します。逆に、「不担保」なら補償されない、つまり保険金が支払われないということです。
免責(めんせき)
責を免れる、つまり責任を負わないという意味です。保険分野で使われる場合は、保険金支払いの責任がないことを示しています。
保険の約款などに記載された「免責事項」とは、保険金が支払われない条件のこと。損害保険に加入していて、事故によって損害が発生したとき、原則として保険金の支払いが補償されていますが、その保険の免責事項(例:故意による損害など)に当てはまる場合は保険金が支払われません。

保険に関わる用語には、読み方や意味が紛らわしいと感じるものもあります。しかし、こうした用語の意味や違いを正しく理解することが、最適な保険商品を選ぶことにつながります。この記事を参考に、保険商品や保険で使われる用語について、あらためて学んでみてはいかがでしょうか。

監修

ファイナンシャル・プランナー 高山一惠さん

2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、株式会社Money&You取締役に就任。女性向けWEBメディアを多数運営するほか、全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
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