第11回 こども環境大賞

大賞・優秀賞・奨励賞・佳作・東京海上日動賞・団体優秀賞・団体賞 入賞作品発表

作文部門

大賞

「ちょうどいいを見つけたい」
児玉 凜子(こだま りんこ)・小学校3年・愛媛県

七月七日、ひなんした高台から見た肱川は、たつまきのようにうずまいていました。川からあふれたにごった水の下に、通学路や自分の家があるなんて信じられません。川遊びや花火をしたいつもの川でなく、大きな大きなへびのような川がとてもとてもこわかった。そして、ぐちゃぐちゃになった家の中、どろだらけになったランドセルやピアノ。思い出すと今でも少しなみだが出ます。ひっしでかたづけをしていた時は、大切なものをうばっていった川がいやでたまりませんでした。でも今は思います。川はあの時、泣きながらおこっていたんだと。「あなたたちの都合いいことばっかり。わたしの話をもっと聞きなさい。」と。

私の夏休みの自由研究はニホンカワウソです。水族館でコツメカワウソに一目ぼれをしたことがきっかけです。調べていくうちにたくさんの人に出会い、色々な話を聞きました。カワウソは身近な動物だったことにおどろきました。川がまがったりぶつかったりして、そこに神社ができお祭りをして、川があふれても運んできた土がおいしい作物を作ってくれて、ときにはカワウソもやってきて、昔はおたがいさまでくらしてきました。ちょうどいい関係で。でも、人間だけが便利になろうとして、うばってばかりのズルをしました。カワウソは安心できるすみかをなくしました。博物館の学芸員さんの言葉が心に残っています。「人の生活を豊かにするスピードにカワウソはついていけなかった。心によゆうができ自然に目を向けたときには…。」ぜつめつすんぜんにならないと気がつかないなんて人間はどん感です。肱川も私たちの生活のためにガチガチにされて、きっと川の言葉で「やめて。」とずっとさけんでいたのだと思います。でも聞こうとしなかった。だからバランスがくずれた。それが七月のごう雨さいがいだと思いました。

九才の私にもできることは何だろうと考えました。カワウソのことを教えてくれたおじいさんは「若いからいっぱい時間はある。もっと調べてごらん。」と本や写真をゆずってくれました。動物園の副園長さんは「生き物は関連して生きている。身近な自然を観察して。」と教えてくれました。

引っこした家には小さな庭があります。引いても引いても生える草。まいた種は芽が少ししかでませんでした。野生の動物も来ます。鳥も空からねらっています。青虫はちょっと苦手だけどがんばります。生き物のつながりをじっくり観察して、小さな自然の声を聞ける人になりたいです。そうしたら、自然とごっつんこしないちょうどいい関係のコツが分かるかな。発見したことは友だちやたくさんの人に伝えたいです。こんな小さなことだけど、どこかでひっそりと生き残っているニホンカワウソにつながると信じています。

優秀賞

「知とこのどうぶつさんたちへ」
木村 彩友美(きむら さゆみ)・小学校2年・福岡県

とてもさむくなってきました。みなさん、お元気ですか。そちらは、わたしが、そうぞうできないくらいさむいでしょうね。ヒグマさんたちは、冬みん中でしょうか。

さく年の夏、みなさんのお家におじゃまさせてもらって、ありがとうございました。

わたしが、できるだけ、大きな声で、「ホイホーイ。」と、言ったり、元気よく、手をたたいたりして、みなさんに、ごあいさつしていたこと、聞こえていましたか。

わたしは、テレビや本で、知とこのようすを見て、ずっと、来てみたいと思っていました。それで、おとうさんにおねがいして、やっとつれて来てもらいました。まず、ひこうきにのって、三時間、空こうについて、車にのりかえて、七時間。十時間もかかって、やっと、知とこにつくことができました。

でも、すぐに知とこに入ることは、できませんでした。

まず、にもつのチェックをします。この時、わたしは、大すきな、スポーツドリンクをもっていたけれど、ヒグマさんたちは、とてもはながよいので、水とおちゃしか、もって入ることができないのですね。

そして、つぎに、くつを、きれいにしなければいけませんでした。みなさんのお家、知とこの自ぜんのしくみをまもるためだそうですね。かぞくみんなのくつを、きれいにしながら、わたしは、きんちょうしはじめました。

出ぱつのじゅんびが、ととのいました。

ガイドさんから、

「知とこは、ヒグマたちのすみかなので、わたしたち人間が、どうぶつたちのお家に、おじゃまさせてもらう、という気もちをもってね。」
と、教えてもらいました。

その時、わたしは、大切なことに、はじめて気づきました。

わたしは、知とこに、来たくて、来たくて、しかたがなかったけれど、ここは、あなたたちのお家だものね。とつぜん、おじゃましちゃって、びっくりさせているかもしれない。わたしたち人間が、いつもいっしょに、くらしているわけではないものね。知とこを歩いていると、ちゃ色のキツネのふんや、わたしの顔ぐらいの大きさのヒグマの足あとを見つけて、知とこは、どうぶつさんたちのすみかなんだなぁと思いました。そして、「おきもの?。」と、思ったエゾシカさんの口が、モグモグとうごいた時、びっくりしました。知とこには、わたしが、今まで会ったこともない、どうぶつさんたちが、くらしているのですね。

それは、知とこが、自ぜんのままだからだと、よく、分かりました。

また、いつか、みなさんのすてきなお家に、おじゃまさせてほしいです。しっかり、おやくそくをまもるので、よろしくおねがいします。それまで、元気でいてください。

「すべての命が住みよい地球に」
廣瀬 健伸(ひろせ けんしん)・小学校5年・茨城県

「コアジサシを見てみたい」

バードウォッチングを始めて迎えた初の夏休み、小学校二年生だったぼくは、母に頼んで県内の浜辺に出かけました。コアジサシは、毎年日本にやってきて子育てをする、夏の渡り鳥です。茨城県にははん殖地がいくつかあり、そのうち、神栖市の海岸に行きました。

はん殖地の場所を知るためあれこれ調べるうち、地方新聞の記事を見つけました。神栖市には、二十年前は何千羽も来ていたこと。夏の浜辺に車やバイクで乗り入れる人が増えて飛来数が減ってきたこと。去年は三百五十〜四百羽ほどだったのが、今年は十〜十五羽しか来ていないことが書かれていました。あまりの激減ぶりを知って、大ショックでした。

海岸に着くと、営巣地を守るために、車や人が入れないように張ったロープがありました。でも、すぐ隣では大きな四駆が、砂浜を走り回っています。車はかっこよかったけれど、鳥の目線で考えてみたら、大きなかたまりが大音量のもうスピードで動いていたら、相当怖いだろうと想像し、ぞっとしました。

しばらくしてきらきら光る海の上を飛ぶコアジサシを見つけました。「いた!」と喜んでいると、急降下して水中にダイブし、何かつかまえました。そして、ロープの向こうのところどころ草が生えた場所に降りました。
「あのへんが巣だね」

望遠鏡で集中して探すと、ヒナが小魚をもらって食べていました。ヒナはふわふわで、かわいくて、元気で、うれしかったです。

けれどぼくは一方で、心がぎゅっと縮むような悲しい気持ちにもなっていました。それは、望遠鏡の位置を合わせるたびに目印になったのは、目立つ色のペットボトルだったからです。巣のまわりは、ほかにも壊れたフリスビーや古タイヤ、レジ袋などがたくさんありました。コアジサシが、ゴミに囲まれながら一生けん命ヒナを守っている姿が、ずっと忘れられません。このときから、海洋汚染の問題に関心を持ち、自分でも何かできることはないか、考えるようになりました。

まずは小さいことから始めました。食べ終えた後の食器は、汁や油を拭いてから洗ってもらう。ごみの分別を徹底する。コンビニに行ってもレジ袋はもらわない。五年生から始まった委員会活動は、環境委員に入りました。主な活動は牛乳パックの回収です。紙やプラスチックのリサイクルの重要性を学ぶことができました。あのコアジサシの営巣地には、毎年様子を見に行っています。

環境汚染は、人間が便利な生活や楽しみを追い求めすぎている結果だと思います。便利で楽しい生活はぼくもしたいけれど、そのために苦しむ命があっては、本当の幸せとはいえません。命あるものみんなが気持ちよく住める地球にするために、思いやりと想像力、そして知恵を持つ大人になろうと思います。

奨励賞

「コンポストでゴミを減らそう」
芝田 凪沙(しばた なぎさ)・小学校5年・静岡県

「ドサドサ。」人参の皮に大根の葉っぱなど今日も四日分の野菜くずをコンポストに捨てます。このコンポストは母が耕す市民農園の角にあり2×4mほどの大きさです。ここで分解された野菜くずは肥料になり畑に使えます。

私たちがコンポストに生ゴミを捨てるようになったのは三年前です。きっかけはわたしが住んでいる静岡市のゴミの40%が野菜くずなどの生ゴミだと清そう工場の見学で知ったからです。この生ゴミを減らすには、コンポストが有効であることを調べました。

まず始めたのは家庭用のダンボールコンポストです。ダンボールの中にび生物が住む土があり、そこに一日300gの野菜くずを入れかき混ぜます。四・五日すると、野菜くずが小さくなっていきます。見えないび生物が野菜くずを分解して土にしてくれるのです。私は、夏の自由研究もかねて、コンポストをかき混ぜながら、生ゴミの分解を観察しました。すると毎日土を混ぜると、分解がよく進むことがわかりました。台所から出る生ゴミはコンポストで消えていきました。私は家庭用コンポストをみんなが持てば、ゴミはかなり減らせるのではと考えました。

しかし、忙しい日などかき混ぜるのを忘れたり、野菜くずを多くコンポストに入れすぎると、野菜の分解がうまくいかないことがありました。においが出たり虫が出たりしました。ダンボールコンポストは手に入れるのはかんたんですが、まめにかき混ぜるなどのかん理が必要です。また、冬になり、気温が下がると分解の進みが悪くなります。

そこで、母といっしょに考え、近くの市民農園を借り、その園にある大きなコンポストに定期てきに野菜くずなどのゴミを持って行くことにしました。野菜の皮から、卵の殻までフタ付きのバケツに入れてコンポストに運ぶことにしたのです。初めはめんどくさいなと思いましたが、市民農園で育てる野菜の水やりや、しゅうかくのついでなので段々と慣れてきました。家の台所で出る生ゴミの9割以上がコンポストで分解されるようになったのです。するとわが家の燃えるゴミの量はぐっと少なくなりました。私はこの大型コンポストが地球のゴミを減らす一つの鍵になるのではないかと考えました。

思いついたのは、コンポストステーションです。今、スーパーや街角にあるリサイクルステーションのように、町のどこかに大型コンポストを置いて、みんなが生ゴミを持ちこめるようにするのです。もうペットボトルや古紙ではリサイクルがあたりまえになって来ています。私は、みんなが意識を高くして、生ゴミをコンポストステーションに持ちこめばゴミは減ると思います。また、ここでできた肥料は次に野菜を育てるためにも使えます。

一人一人がゴミを減らそうという気持ちを持って、毎日出る生ゴミをリサイクルすれば、環境への負担も減ることでしょう。

「ミツバチのココロ 人知らず」
鈴木 悠朔(すずき ゆうさく)・小学校6年・愛知県

「見て!見て!今日ベランダに!」
虫が大の苦手な母が喜んで見せてくれた一枚の写真。ミツバチだ。

「え!?ベランダに?やったぁ!!」
僕が喜んだのには大きな理由がある。

「二十年後には、今の生活が保障されていない。」
これは、偶然行ったイベントで聞いた言葉。人類の食料の三分の二はミツバチの受粉によって支えられていて、今、そのミツバチが環境破壊により絶滅危機だという。この話を聞き自分が情けなく思えた。こんなにも大切なことを、全く知らなかったのだ。「地球を守る」なんて大きなことは僕にはできないけれど、僕たちが今からでもできることはないのだろうか。環境がどんどん悪くなっている現実を目の当たりにし、ショックだったけれど、ある一言で僕は、決意した。

「環境は、元に戻すことはできないが、とどめることはできる。」よし!これ以上地球環境を悪化させるものか!

僕は早速、イベントで手に入れた、「ミツバチがよろこぶ花の種」を学校へ持っていった。先生はすぐにプランターや土を用意してくれ、みんなでまいた。種から芽が出ると、どんどん育ち、花が咲いた。夏休みに入ると、先生から元気に育つ花の写真が送られてきた。コメントを見ると、「ミツバチも来ていたよ。」僕は嬉しくてたまらなかった。

みんなは、ミツバチを見るとこわがって逃げたりもした。「ミツバチは、とても優しく、僕たちが攻撃しなければ刺してこないんだよ」と伝えた。激減しているミツバチに出会えたことが奇跡なんだ。

そして同じ夏休み、名古屋をよりよくするにはどうしたらいいのかを考える、「名古屋こども市会」に参加し、議長を務めさせてもらった。ミツバチ保護をうったえるTシャツを着て会を進めた。最後の言葉では、ミツバチの危機を知ってもらい、名古屋から環境保護活動をすすめていこうとみんなにうったえた。少しでも多くの人にこの現実を知ってもらいたいという僕の夢が少しだけかなった。

春になれば桜が咲いて、夏には海水浴に行き、秋の紅葉を観賞したら冬の雪を楽しむ。当たり前の生活。旬のものをおいしくいただき、虫や動物、植物たちに支えられながら生きている。この生活が、この先何十年も続くことはないという。地球を救うなんて夢のような大きな話かもしれない。しかし、小さなことでも一人一人が環境に気をつけ行動すれば、きっとそれはとても大きな大きな力になるだろう。

わりばしやストロー、レジ袋を使わない、農薬を控えるなど、ミツバチにやさしい環境を作れば、地球にやさしくなれる。

何世代先までも続く平和な地球、みんなで作りませんか。

佳作

「わたしが取り組んでいるエコ活動」
大橋 愛実(おおはし あみ)・小学校3年・茨城県

「今年の夏はあつかった」とか「今年は台風が多くて大へんだった」とか、わたしの身の回りにおいて毎年なんだか気こうがかわっていっているように感じます。これがよく耳にする地球おんだんかのえいきょうなのかなと思います。

この地球おんだんかという言葉を知ったのは一年くらい前です。わたしは市はんの小学生新聞を毎日読んでいるのですが、地球の気温があったかくなってしまう地球おんだんかというニュースをみてびっくりしました。わたしが毎日使うれいぞうこやエアコン、フロのおゆなど、エネルギーを使う物からにさんかたんそという物が発生し、それが地球の大気にたまって気温があったかくなっていってしまうことを学びました。ただ、さいしょはわたしが大人になったときに、今よりも気温が一℃とかあがってもたいしてなにもかわらないんじゃないかなと思いました。でももっと調べてみると大へんなことがわかりました。地球全体において、ほっきょくやなんきょくのこおりがとけ、海の水のりょうがふえて島国がしずんでしまうとか、海の中のサンゴしょうや魚などの生き物が死んでしまうとか、大きなえいきょうがあることが分かりました。それを知ってからは、れいぞうこをあけっぱなしにしないこと、外に出かけるときはエアコンをつけっぱなしにしないこと、お風ろのおゆをだしっぱなしにしないこと、この三つをしっかりと心がけています。また、もう一つ地球の未来のためにやっている事があります。ゴミを分けて捨てることについてです。プラスチック、アルミカン、紙、ガラスビン、金ぞく、などできるだけ細かく分けています。分けるさぎょうは大へんですが、さいりようできる物やリサイクルできる物が多くあると思うので、がんばってやっています。家族のなかで私がゴミ分けだいじんとなって、お父さんやお母さん、お姉ちゃんにもゴミ分けを教えています。やってよかったと思うのは、ゴミをどう捨てるかひと目で分かるように、ゴミ分けマップを作って家のリビングのみやすい所にはったことです。いいのを作ってくれてありがとうとおかあさんに感しゃされた時はうれしかったです。世の中ではリサイクルはむだという人がいるのを聞いたことがありますが、私が大人になったときにそこら中がうめ立てゴミでちらかっているという地球のすがたはぜったいにイヤです。地球の大きさにたいして私はとても小さいですが、それでも地球のためにやれることをしっかりとやって地球といっしょにせいちょうしていきたいです。ゴミ分けマップでお母さんにかんしゃされたのと同じように、私がコツコツとやっていればいつかきっと地球も私に感しゃしてくれるんじゃないかと思っています。

「わたしのまちの大作戦」
倉内 茉優(くらうち まひろ)・小学校4年・新潟県

わたしの住んでいるまちでは、春になるとたくさんのチューリップがさきはじめます。まるでにじ色のプールのように、コースごとに色が変わる広い畑もあれば、田んぼのまんなかの道には、両わきにたくさんのプランターがおかれ、自転車でこいでもこいでも続くチューリップロードもあります。このチューリップロードのプランターは、実は二千個もあります。きゅうこんにすると二万きゅうです。なぜわたしがこんなにくわしいかというと、わたしは自分たちの住んでいるまちを、大人も子どももみんなできれいにする活動、チューリップ大作戦に参加しているからです。

チューリップ大作戦は、毎年校庭にくっつきトンボが飛んでくるころに行われます。地いきの人が集まって、みんなでプランターに土を入れ、きゅうこんを植えます。プランターに土を入れるのは、とても重いのでお父さんたちや先生、地いきの人、上級生の男の子も手伝います。半分土の入ったプランターに指で穴をあけ、十個ずつきゅうこんを植えるのは、園児や小学生です。わたしはきゅうこんを入れたプランターをかかえて、土を入れてくれるお父さんたちのところまで、何度も運びます。そしてきゅうこんの上に土をたっぷり入れてもらえば出来上がりです。それを二千個作ります。土をいっぱいにしたプランターは重くて、もち上げるのは大変だけど、友達が一人で持っているのを見ると、わたしもいつもより力が出て一人で持てました。でも十個くらい運んだらつかれてきたので、友達と二人で持ちました。すべてのプランターに土を入れたら、おなかもすいてきました。チューリップを植えた後はみんなでお昼です。大きななべからいもにのいいにおいがします。いもにの主役の八幡いもは地いきの名産で、学校の畑で三年生が作ったものです。他の具材も全部地いきの人たちが作った野菜です。みんなで朝から働いて、みんなであったかいいもにを食べて、チューリップ大作戦は終わります。

それから寒い冬が来て、春になると二千個のプランターから色とりどりのチューリップが元気にさきはじめます。田んぼの水がきらきら光り、緑のいねとチューリップ、そんなじまんの景色、じまんの地いきをみんなに見に来てほしいです。

そしてわたしはこれからも地いきのみんなの元気がつまったチューリップロードが、どこまでも長く続いていってほしいです。

「小川の友達が教えてくれたこと」
松﨑 光永(まつざき みつなが)・小学校4年・東京都

黒く光る大きな体がキラキラ光る水面の上を飛んで来る。緑色の大きな目がぼくをじっと見つめる。今年も会えたね、と。

ぼくは東京育ちだ。小さい時は虫が嫌いで、弟がポケットいっぱいにダンゴ虫をつめていて、気持ち悪くなった。小さなぼくの自然とは、清潔な公園やじゃぶじゃぶ池だった。

年長の時、祖父が箱根の山に引っ越しをした。近くに小川もあると言うので、遊びに行った。そこに「あいつ」がいた。

王様みたいに力強い。見た事も無い大きな体で、ゆっくりと飛んでいた。透ける羽を持っていて、夏の空が飛んでいるみたいだった。

東京では会えなかった。初めて見たオニヤンマは、おどろくほどかっこよかった。どうしてもつかまえたくて、虫取りかごとアミを買い、毎日朝から小川に出かけて追いかけた。オニヤンマはすごく速い。ぼくをひょいっとよけたりする。絶対つかまえたいと思った。本気で走って、ついにつかまえた時、本当にうれしくて、何度も叫んでとびはねた。

オニヤンマに会ったその時から、虫を好きになれたと思う。虫はきれいな色や計算された体で必死に生きている。それがただ美しい。

きれいな小川に卵を生むオニヤンマは、東京では中々会えない。小川で毎年あいつを探すけど会えない日が続くと不安になる。小川には、沢ガニやホタル、ヒルなどが元気に生きている。でも昨年、小川の横にアヤメの花だんを作るため小川の水を引き入れる工事をしていた。水は茶色ににごり、ヤゴが死んだらどうしようと心配した。アヤメより、オニヤンマが飛べる事の方が絶対いい。小川の虫達は苦しいと叫べない。だから大人がその声を感じなければ、人間の都合で消えてしまう。

アヤメが咲いた夏もぼくはオニヤンマに会えた。ぼくは東京育ちだけど、大切な友達が小川にいる。友達を守る人になりたいと願う。

 
       
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