1995
大規模自然災害の発生


大規模自然災害の発生

1990年代に入り、世界中で大規模な台風・ハリケーン・洪水・地震が多発するようになり、巨大損害に対応する損害保険事業の重要性が注目されるようになってきました。

1991年9月に長崎県に上陸した台風19号は、九州北部から瀬戸内に大きな被害を与えた後に日本海を速い速度で北上し、日本海沿岸のほぼ全域にわたって甚大な被害をもたらしました。損害保険業界全体で約5,700億円に及ぶ保険金の支払いとなりましたが、当社においても、10万件を超える事故対応を進めるために、被害都道府県の代理店、社員、鑑定人などの専門スタッフだけでなく、他県の専門スタッフや損害・営業・業務サービス部門の社員を地域横断的に動員するなど全社をあげて対応しました。

また、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、6,400名を超える死者行方不明者、63万棟を超える建物への被害が発生しました。当時、現地の多くの代理店の方々も被害にあわれ、倒壊や閉店を余儀なくされた当社拠点も6か所にのぼり、また交通網の遮断に伴い各種対応に混乱をきたしました。

この大震災は、保険事故として当社契約に限っても1万件を超える保険金支払いにのぼり、保険事故として甚大であったばかりでなく、被災した会社業務の継続性をいかに確保するか、被災地域の災害復旧活動に対する協力の在り方などの面でも多くの重い教訓を残しました。

一方、阪神・淡路大震災後に受けた多くのお客様からの要請に基づいて、地震保険の見直しを行い、一件当たりの建物の保険金額を1,000万円から5,000万円に引き上げ、さらに火災保険に中途からでも地震保険の付帯ができるように地震保険制度の改定をすすめました。

そしてその後地震保険の制度の周知に努めた結果、1994年度末において全国で9%であった普及率は、2014年度末には29%の水準にまで高まっています。

これらの経験を踏まえ、当社においては大規模損害発生時に全社をあげて迅速に被害を受けたお客様に保険金支払いができる体制構築を図る一方、巨額な保険金支払いの際の経営上のリスク分散を図るため、多様な再保険の手配や準備金の積み増しなどを通じ、安定的な経営管理体制づくりに努めています。