森林の多面的機能

森林は木材を生産する(物質生産機能)だけでなく、様々な機能を持っています。森林は、国民生活にさまざまな恩恵をもたらす「緑の社会資本」であり、その多面的な機能を高度にかつ総合的に活用することが重要です。

概要

森林の主な機能は以下のとおりです。

  • ・水源涵養機能
    森林は水を蓄え、地下水として供給する役割を担います。
  • ・山地災害防止機能
    森林は土砂崩れや洪水などの山地災害を減らします。
  • ・土壌保全機能
    森林は土壌の流出を防ぎ、肥沃な土壌を保全します。
  • ・保健・レクリエーション機能
    森林は人々に健康と癒しをもたらし、レクリエーションの場を提供します。
  • ・文化機能
    森林は地域の文化や伝統を支え、その継承に寄与します。
  • 地球環境保全機能 森林は地球規模での環境保全に貢献します。
  • 生物多様性保全機能 森林は多種多様な生物の生息地を提供し、生物多様性を守ります。

地球環境保全機能について

地球温暖化による気候危機が現実のものとなっている状況の中で森林の「地球環境保全機能」が注目されています。
森林は、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を固定することで地球温暖化の防止に貢献しています。日本の森林は年間約1億トンの二酸化炭素を吸収しており、これは日本の二酸化炭素排出量の8%に相当します。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、近年は脱炭素への注目が一層高まっており、脱炭素社会を目指す中で森林の炭素吸収能力を維持・向上させることがますます重要となっています。

年間1億トンの二酸化炭素を吸収

生物多様性保全機能について

森林は、希少種を含む多様な生物の生育・生息の場を提供する重要な役割を果たしています。世界の陸地の約3割を占める森林には、陸上生物種の少なくとも8割が生息しています。日本の森林にも約200種の鳥類や2万種の昆虫類が生息しており、遺伝子や生物種、生態系を保全する根源的な機能を果たしています。
2022年にカナダで開催されたCOP15では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、森林の生物多様性保全機能の重要性が強調されました。森林の保全と適切な管理は、生物多様性を維持するために不可欠です。