インドネシア
17,500を超える島々から成るインドネシアにおいては、海岸線の浸食を受けやすいジャワ島北部の沿岸部で植林活動を行っており、これまでの植林活動により、マングローブの林は広がっています。今後は村人たちが、マングローブを守り育てていく活動(保全活動)にも力を入れていきます。
マングローブ植林活動レポート
植林したマングローブの様子
インドネシアでは1999年よりNGO「オイスカ」が地元の自治体や住民のみなさんと連携しながらマングローブ植林活動を進めてきました。劣化するマングローブ林を再生し、海岸浸食から人々の生活を守ることを主な目的としています。
- 2023年度の植林面積 35ヘクタール
- 累積植林面積 3,393ヘクタール
マングローブ植林活動状況
2023年度は、雨季の開始が例年に比べて遅れましたが、適切なタイミングで活動を実施した結果、ジャワ島にある6県の植林地で合計35ヘクタール、144,000本のマングローブを植林することができました。
ジャワ島中部ジャワ州のブレベスのGrinting村では、池や川の堤防近くにある7ヘクタールの植林地に、27,000本のマングローブを植えました。この活動は、雨水や波による浸食や摩耗から、堤防を守ることを目的としています。
ジャワ島中央部北岸のジェパラでは、今年から新たにクレリン村での植林活動を開始しました。同村は泥の堆積も十分で、マングローブの生育に最適な条件を備えていたことが選定の理由です。クレリン村では地元の胎生種子のみを使用し、在来の生物多様性を保護しています。遠隔地の種子ではなく地元のものを使用することで、環境に適応し、急速に成長することを期待しています。
マドゥラ島南岸のパメカサンでは、Branta Tinggi村の5ヘクタールの植林地に、25,000本のマングローブを植えました。この植林地では、マングローブの若い茎がカニやヤドカリに食べられてしまうことが課題でしたが、1カ所に2つの種を植えつつ補植を行い、生存率を高める工夫をしています。
植林地の様子
ジャワ島の西ジャワ州にあるインドラマユでは、6ヘクタールの植林地でモクマオウが育ち、海岸の環境に変化をもたらしました。砂地が肥沃になったことで、モクマオウの林の下で農作業ができるようになり、現在は10人のメンバーがモクマオウの手入れをしながら、スイカや唐辛子を栽培しています。
ジャワ島中央部北岸のペマランでは、池の堤防の大部分をマングローブ林が囲んでいます。マングローブの植林育成と水産養殖を組み合わせた「シルボフィッシャリー」という取り組みは、周辺の池を保護するだけではなく、ミルクフィッシュ養殖やカニ漁に良い影響を与え、周辺住民に貢献しています。
ジャワ島中央部北岸のダマックでは、強い波によるマングローブの流出を防ぐため、防波堤を設置しています。この防波堤は土砂を貯留し、海に直接面している民家の保護にも効果があります。現在では周辺住民もこの重要性を理解し、県外やジャワ島以外の島々からも、多くの訪問者が視察に訪れるようになりました。
ジャワ島中部ジャワ州のブレベスでは、2024年3月現在、マングローブの生存率は75%に達しています。また、全体の50%の苗からは新しい葉や枝が確認されました。
今後の活動予定
次年度は7カ所85ヘクタールの植林地に、マングローブを植える予定です。