海岸林の機能
海岸林は、高潮、飛砂、潮風害、塩害などの自然現象による被害を緩和する重要な役割を果たしています。
概要
海岸林は以下の自然現象による被害を緩和します。
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・高潮
台風や発達した低気圧に伴い、海面が異常に高くなる現象で、沿岸部の住宅や耕地に浸水被害がもたらされます。海岸林は、高潮時の海水の侵入を防ぐバリアとして機能し、浸水被害を軽減します。 -
・飛砂
海岸の砂が風によって移動する現象で、塩分を含んだ砂が金属製品やコンクリート構造物を腐食させ、農作物の生育を阻害します。海岸林は風を遮ることで飛砂の移動を抑制し、これらの被害を防ぎます。 -
・潮風害
強風により海岸部から舞い上がった波しぶきが農耕地に運ばれ、農作物に塩分が付着して生育を阻害する現象です。海岸林は強風を和らげることで、潮風害による農作物への被害を減少させます。 -
・塩害
高潮や津波などで海水が農地に浸入し、塩分によって植物の生育が阻害される現象です。海岸林はこれらの塩害から農地を守り、植物の枯死を防ぐ効果があります。

出典:『令和2年度森林・林業白書』
津波への効果
日本の海岸では、飛砂害や風害、塩害などを防ぐため、マツ類を主体とする海岸林の整備と保全が進められてきました。東日本大震災を契機に、海岸林が津波のエネルギー減衰や到着時間の遅延、漂流物の補捉といった被害軽減効果を発揮することが認識され、2012年には津波対策の一環として位置づけられました。現在、被災した海岸林の再生と全国的な整備が進行中です。具体的な取組みとして、根が地下水に触れるのを防ぎ 、緊縛力を高めるための盛土による生育基盤の確保や植栽が行われています。
