海岸林の歴史

海岸林の多くは江戸時代に飛砂に悩まされた農民によって植栽された人工林です。飛砂とは、河川から流出した大量の砂が沿岸流によって砂浜に運ばれ、強風によって海岸の農地や集落を襲う現象です。

海岸林が必要となった背景

弥生時代から、稲作農業や農民の生活は森林資源に依存していました。しかし、人口増加や生活の高度化により木材の使用が増加し、結果として森林が減少・荒廃して、「はげ山」の時代が続きました。そのため、森林の水源涵養機能 が失われ、水が地表を流れて少しの豪雨でも山から土砂が流出し、海まで到達するようになりました。この時代には、飛砂の影響も非常に大きかったと推測されます。

海岸林の歴史

日本では、江戸時代から海岸林の植林活動が本格的に行われ始めました。明治時代に入ると、近代的な治山治水の概念が導入され、植栽がさらに進められました。戦中および戦後の混乱期には海岸林は再び荒廃しましたが、経済復興期には海岸林の造成は全国的に進み、現在の海岸林は1960年代末までにほぼ完成しました。