インド
インドは、世界にあるマングローブ林の約2.8%の面積を保有していましたが、沿岸開発や一部劣化によって失われています。このプロジェクトでは、天然のマングローブ林が存在しなかったインド西部・グジャラート州の河口で植林活動を行っています。
マングローブ植林活動レポート
植林したマングローブの様子
インドでは、2009年からNGO「国際マングローブ生態系協会(ISME)」が、現地NGO「Daheda Sangh」とともに、インドマングローブ協会の協力を得ながら、ヴァドガム村の住民のみなさんとともに植林事業を進めています。多くの住民が農業で生計を立てているこの地域で、マングローブ植林を実施する目的は、「農地に浸入する海水を軽減すること」、「波を弱めて海岸が削られるのを防ぐこと」、「乾季に家畜への飼料を供給すること」などです。
- 2023年度の植林面積 70ヘクタール
- 累積植林面積 1,125ヘクタール(未確定)
マングローブ植林活動状況
2023年度は、サバルマティ川の河口付近に位置するヴァドガム村近くの植林地で、ヒルギダマシの種をまきました。潮の満ち引きによって、種が流失してしまう可能性があるため、原則として1カ所に3つずつ種をまくようにしています。
種は、成熟して結実したヒルギダマシから採取します。ヒルギダマシの種は、表面の皮が付いたままでは腐りやすいため、採種したら8時間以上は水に浸し、自然に皮がむけるよう促します。また、皮の表面には細かな毛があり、水をはじいて浮いてしまうため、流失を防ぐためにも、皮をむく行程は重要となります。
ヴァドガム村の住民は、近隣の村々からの要望に応じて、ヒルギダマシの種子を販売して収入を得ています。また、植林活動にあたっては、SDGs の目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の実現を目指して、女性の雇用を増やす努力をしています。

女性たちが採種している様子ⒸISME

採種した種子の皮むき作業の様子ⒸISME
植林地の様子
植林地周辺は年間降雨量が300mm に満たず、乾季にはほぼ砂漠のような状態になります。成長には厳しい環境ですが、それでも当プロジェクトで植えてきたヒルギダマシは、少しずつ成長を続けています。中には、樹高が2.5mを超えるヒルギダマシも出てきました。
これまで、サバルマティ川の上流で大雨が降ると、河口付近が氾濫し、川岸が大きく侵食されることがありました。しかし、今ではヒルギダマシが徐々に大きくなり、地中に伸ばした根が土壌をつかまえられるようになり、川岸の侵食をある程度食い止められるようになってきました。これは、当プロジェクトの大きな成果の1つです。

樹高が2.5m を越えたヒルギダマシⒸISME

川岸で育っているヒルギダマシⒸISME
今後の活動予定
次年度も、植林面積の実測や適期での採種など、植林活動を継続する予定です。