インドネシア

17,500を超える島々から成るインドネシアにおいては、海岸線の浸食を受けやすいジャワ島北部の沿岸部で植林活動を行っており、これまでの植林活動により、マングローブの林は広がっています。今後は村人たちが、マングローブを守り育てていく活動(保全活動)にも力を入れていきます。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

インドネシアでは1999年よりNGO「オイスカ」が地元の自治体や住民のみなさんと連携しながらマングローブ植林活動を進めてきました。劣化するマングローブ林を再生し、海岸浸食から人々の生活を守ることを主な目的としています。

  • 2024年度の植林面積 85ヘクタール
  • 累積植林面積 3,478ヘクタール

マングローブ植林活動状況

ジャワ島中部ジャワ州のブレベスでは、カリウリンギ村とグリンティン村で10万本ずつ、合計20万本のマングローブを植えました。グリンティン村では、川沿いや養殖池の堤防沿いに植林したため、風や波の影響をあまり受けずに成長することが期待されています。2025年3月に実施したモニタリングでは、養殖池沿いに植えたマングローブに、新たな枝や葉が見られました。

ジャワ島中央部北岸のペマランでは、泥が効率的かつ均等に植林地へと運ばれるように、植林前に新しい水路を造成しました。これにより、泥を多く含んだ川の水が運ばれ、豊富な堆積物とともに栄養分が常に供給されたことで、マングローブの健全な成長が促進されています。15ヘクタールに15万本植えたマングローブは、活着率・成長率ともに非常に良い成果が出ています。

ジャワ島中央部北岸のジェパラのジャンブ村では、乾期から雨期に移行する10月から11月にかけての植林適期に、ヤエヤマヒルギとモクマオウを5ヘクタール植えました。この作業には、ジャンブ村の植林グループに加えて、地元の高校生も参加しました。この生徒たちが環境保全の重要性を理解し、自らの手で環境を守る意識を育んでくれることを願っています。

2022年にブレベスのグリンティング村の川岸に植えられたマングローブ

ペマランの植林地の中央に水路を造成している様子

ジェパラでの植林活動の様子

植林地の様子

ジャワ島の西ジャワ州にあるインドラマユでは、2021年に植えたモクマオウが小さな森の形になるまで育っていて、地域住民が集う場所となっています。広範囲に植えたモクマオウが、波の衝撃から土砂を守り、侵食を軽減することが期待されています。また、モクマオウによって守られた海岸を活用してスイカや野菜の栽培が行われており、経済的な面でも住民に利益をもたらしています。

ジャワ島中央部北岸のダマックでは、Timbulsloko村に設置した消波ブロック(防波堤)が、沿岸部に住む住民の家屋や、マングローブ林を保護しています。防波堤の背後で土砂の堆積が進み、引き潮になると約10ヘクタールの新たな土地が出現するようになりました。この成果により、ダマック県外から多くの地方自治体が視察に訪れ、防波堤の利点を学んでいるほか、スマラン市内外の大学が防波堤の機能と村への影響を研究するための教育拠点になっています。

ジャワ島中部ジャワ州の北東部にあるパティでは、2019年から2021年にかけて保全活動として整備してきたクルトムルヨ村のエコツーリズムが順調に発展しています。その主要な観光資源となっているのがマングローブ林で、訪問者はマングローブの植生を観察・学習しています。このエコツーリズムは、地域経済の活性化にも貢献しています。

インドラマユで2021年に植えられ、12~15mになったモクマオウ

ダマックのTimbulsloko村の完成間近となった防波堤

パティのKertomulyo村の観光資源となっているマングローブ林

今後の活動予定

次年度も各地で、マングローブの植林活動を実施する予定です。