インドネシア

1万7,500を超える島々から成るインドネシアにおいては、海岸線の浸食を受けやすいジャワ島北部の沿岸部で植林活動を行っています。これまでの植林活動により、マングローブの林は広がっています。今後は育ててきたマングローブを村人たちが守り育てていく保全活動にも力を入れていきます。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

インドネシアでは1999年よりNGOオイスカが地元の自治体や住民のみなさんと連携しながらマングローブ植林活動を進めてきました。劣化するマングローブ林を再生し、海岸浸食から人々の生活を守ることを主な目的としています。

  • 2021年度の植林面積 80ヘクタール
  • 累積植林面積 3,293ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2021年度になり、新型コロナウイルス感染防止のための活動制限が緩和され、植林地のモニタリング活動や対面での会議が再開できました。そして、前年度に続き7つの地域で植林活動を実施しました。

ジャワ島の西ジャワ州にあるインドラマユでは、18.4ヘクタールの植林地にヤエヤマヒルギを植林しました。2021年8月に植えたヤエヤマヒルギは、土壌堆積や高波の影響が心配されましたが、約70%の苗木が生存し、成長しています。

中部ジャワ州のブレベスでは、2021年11月と3月に植林活動を実施。ヤエヤマヒルギの種子を合計3万6,000本植栽しました。特に3月に植栽した種子は、モニタリング活動によって生存率が100%であることが確認できています。植林事業が継続されることにより、植林サイトの数が増え、沿岸部の安全を守るマングローブが生育していることを、村人たちはとても喜んでいます。

ジャワ島中央部北岸のジェパラでは、10ヘクタールの植林地に2万本のヤエヤマヒルギを植えました。植林地の端は沖に近く、強い波や漂流ゴミの影響を受けやすい環境です。しかし、沿岸浸食から村を守るために活動する植林グループの努力の甲斐あってマングローブの生存率は70%を記録しています。

2021年度に植栽したマングローブの様子

2022年1月の植林活動の様子

昨年に植えたマングローブの様子

植林地の様子

ペマランの植林サイトが、中部ジャワ州政府から生態系重要保全地域に指定されました。特にMojo村の植林サイトは、生物多様性が回復してきていることにより、県政府や中央政府から注目を集めています。実際にMojo村では漁業の経済効果が高く、86億ルピアにも及ぶと推定されています。養殖分野だけを見ても、ミルクフィッシュの収穫量が年間1,050トン、概算で180万ルピアに達しています。

2021年度は植林グループに別の地域の植林活動を見てもらう比較ツアーを各地で実施しました。中でも、ダマックの村人たちは、ペマランにある養殖池での植林効果を実際に体感しました。マングローブを植えることによるメリットの詳細な説明を受けて、多くの養殖池所有者が自らの養殖池の周りにも、マングローブを植林することを希望しました。

また、2022年3月には、Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)をテーマにしたワークショップを、7つの植林サイトで開催しました。村人や行政関係者などが参加した本活動では、講義のほか活発な議論も行われ、みなさんが防災・減災面でマングローブ林が果たす役割を理解すると同時に、各関係者どうしの交流も生まれました。

年間1050トンに達するというMojo村の魚の収穫

植林効果を体感してもらう比較ツアーの様子

Eco-DRRワークショップの様子