マレーシア
マレーシアのボルネオ島サバ州では、国全体の50%弱に相当する面積のマングローブ天然林が分布しており、このうち約93%は保護林に指定されています。
マングローブ植林活動レポート
植林したマングローブの様子
マレーシアでは、2011年からNGO「国際マングローブ生態系協会(ISME)」が、サバ州森林局の協力を得ながら、植林事業を進めています。1990年代にタンニン採取や薪炭材の利用、油ヤシの植栽のために天然のマングローブ林が不法伐採されたため、荒廃したマングローブ林を再生することを目的に植林活動を実施しています。絶滅が危惧されるテングザルなどの野生生物を保護したり、生物多様性を保全したりする観点からも重要な活動です。
- 2024年度の植林面積 35ヘクタール
- 累積植林面積 528ヘクタール
マングローブ植林活動状況
2024年度は、サバ州北東部サンダカンの植林地25ヘクタールと、サバ州北部コタマルドゥの植林地10ヘクタール、合計35ヘクタールの植林地にマングローブを植えました。
12種類のマングローブのうち、植林地の環境条件、冠水時間や塩分濃度に合わせて、最適と思われるマングローブを植林しています。例えば、塩分濃度が高い立地環境では、選択肢の中で一番塩分耐性の高いヤエヤマヒルギを選ぶ、という方法です。
2024年8月と2025年3月に、日本からの環境学習を兼ねたボランティアを受け入れ、マングローブ生態系、低地の熱帯降雨林、ゴム農園、オイルパーム園などに関する環境教育やボランティアによる植林を実施しました。3月には、サバ州自然資源局の職員20人もボランティアで参加し、Pulau ISMEの泥干潟へ150本の苗木を植えました。
日本からのボランティアがゴム農園で環境学習をしている様子ⒸSFD-ISME協働マングローブ植林プロジェクト
日本の高校生たちがPulau ISMEの泥干潟で植林している様子ⒸSFD-ISME協働マングローブ植林プロジェクト
サバ州自然資源局の職員20人と、日本の高校生たちによる記念写真ⒸSFD-ISME協働マングローブ植林プロジェクト
植林地の様子
サバ州サンダカンは、あまり強風が吹かない地域です。しかし、小さな低気圧が発生した場合には、強い風が吹くこともあります。2024年7月に小さな低気圧がコタキナバルを通過し、その影響で市内の一部でスコールによる洪水が発生しました。マングローブが生い茂る湿地コタキナバルウェットランドセンターでは、園内で一番太かったオオバヒルギの幹、2本のうち1本が残念ながら倒れてしまいました。このオオバヒルギは、幹の直径が75cm、長さが17mにまで成長していました。
現地調査の様子ⒸSFD-ISME協働マングローブ植林プロジェクト
Sungai Tokio Marineの植林地で調査している様子ⒸSFD-ISME協働マングローブ植林プロジェクト
コタキナバル湿地センターで、風で倒れたオオバヒルギを調査しましたⒸSFD-ISME協働マングローブ植林プロジェクト
今後の活動予定
2024年度は35ヘクタールに植林しましたが、面積に対して実際に植林した本数が少なかったため、2025年度も今年度の植林地内で、1ヘクタールにマングローブが約2,500本となるよう補植する予定です。










