フィリピン

フィリピン・ルソン島は、外洋に面していて巨大な波と高潮の影響を受けやすい地形です。植林地ホセ・パンガニバンでは、かつて金・銅・鉄などの鉱山により栄えましたが、岩盤採掘により、川や沿岸の海に汚染土壌が流出、蓄積し環境に悪影響を与えています。土壌流出や自然災害による被害から人々とその生活を守る意味で重要なプロジェクトです。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

フィリピンでは、1999年よりNGO「オイスカ」が中心となり、マングローブ植林活動を実施しています。高潮などの自然災害から人々を守ることを目的としています。

  • 2024年度の植林面積 17ヘクタール
  • 累積植林面積 1,053ヘクタール

マングローブ植林活動状況

タグカワヤン町ラウレル村では、2024年9月から植林準備を開始し、胎生種子の採取や支柱の準備を行いました。そして、村の漁業者団体SAMMRELのメンバーを中心に50名以上が参加し、10月初旬から11日間にわたって植林活動を実施しました。

場所はキタイ地区の海岸で、ヤエヤマヒルギの胎生種子を1×2メートル間隔で植え、計画通り17ヘクタール植林を行いました。植林する際、適切な間隔を空けてマングローブを植えるために、ロープを張り、さらに、支柱を立ててヤシの葉で胎生種子と支柱とを結び、波などで流されないように対策をしました。

SAMMREL メンバーが胎生種子を採取している様子

マングローブが流されないよう竹の支柱に結び付ける様子

1×2メートル間隔で植えられたマングローブ

植林地の様子

2023年に北カマリネス州カブサオの湿地に植林したマングローブは、青々と順調に生育しています。これにより、海岸線の安定化、浸食や高潮からの保護に貢献しています。さらに、海洋生物や鳥類を含む多様な生物に生息地を提供しており、環境面でも重要な存在となっています。

この植林地は「カブサオ湿地重要生息地」に指定されており、地域住民だけではなく他の地域からもバードウォッチャーや日帰りキャンプ、校外学習を行う学生などが訪れるようになり、環境教育の拠点にもなっています。

また、カグバレット島のマングローブ植林地では、現地の保護地域管理委員会(PAMB)の管理委員として、NGO「オイスカ」が参画しています。具体的には、担当スタッフが四半期ごとの定例会合に出席して、地域の景観や環境を守るための管理計画の策定などに貢献しています。このように地域と連携することで、この地での新規マングローブ植林や、これまでの植林サイトの管理をよりよい形で実践できるよう努めています。

台風に遭っても倒れずに残ったマングローブ

タガカワヤン町とオイスカで、新規プロジェクトの開始に向けた管理計画を策定している様子

村の漁業者団体SAMMRELによる住民向けセミナー

今後の活動予定

次年度もマングローブの植林や、植林地のモニタリングを予定しています。