タイ

タイでは、第2次世界大戦後、スズの採掘、エビの養殖場や船着場の造成、炭作りなどの開発により天然のマングローブ林が伐採されてきましたが、ラノーン県ではこれまでの植林活動により大きなマングローブ林が広がっています。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

タイでは、1999年よりNGOオイスカがラノーン県のマングローブ資源開発局の協力を得て、地元住民のみなさんの参加に重点を置いたマングローブの植林活動を実施しています。住民のみなさんはマングローブ林についての理解を深め、その大切さを実感し、多くの人が自主的に植林、補植の活動に参加するようになってきました。今後は保全活動の一環として、植林地のマングローブの種類や樹高、生物多様性などについて調査することにも力を入れていくことにしています。

  • 2021年度の植林面積 8ヘクタール
  • 累積植林面積 1,150ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2021年度はタイ南部のラノーン県で、8ヘクタールの植林活動を行いました。村人グループが草刈りや片付けなどの準備活動をした植林地に、約3カ月成長したオオバヒルギの苗木3万5,000本を植えました。そのうち2ヘクタールは、これまで実施してこなかった干潟エリアの泥地での新規造林です。その後は、草刈りと5,000本の補植活動を実施。植えた苗木の生存率は85%でした。

2021年10月以降は、植林地の管理作業や本プロジェクトの広報活動を行いました。

また、現地と日本の東京海上日動をつなぎ「バーチャルツアー」と題したオンライン報告会を実施しました。オンラインのおかげで時間や場所といった制限がなくなり、多くの従業員が、マングローブ植林活動の重要性について理解を深める機会となりました。

干潟エリアの泥地で行った植林活動の様子

2021年度に植えられたオオバヒルギの苗木

活動に参加している村人グループ

植林地の様子

2021年11月にラノーン県のマングローブ林を含むアンダマン海保全地域を、将来世界自然遺産に推薦する計画がある対象地として定め、暫定リストとしてUNESCOに提出することがタイの閣議で決定しました。もし世界遺産に登録されることになれば、ラノーン県のマングローブ林の国際的な価値が高まります。また、森の持続的な保護・保全が保障されることも期待できます。

1999年から20年以上継続しているタイでの本植林プロジェクトは、これまで1,142ヘクタール以上のマングローブ林を再生してきました。豊かになった植林地では、多様な生態系が見られるようになり、地域の環境、経済や社会にも良い影響を与えています。

植林地での管理作業の合間に、採取してきたヒイラギギクの葉を乾燥させ、お茶の葉として加工する作業を開始しました。こちらはハーブティーとしての需要が見込まれています。また、シロップ漬けにしたニッパヤシの実も作っており、海岸近くの住民の収入源として期待されています。

植林地の管理作業の合間に、ヒイラギギクを採取する様子

マングローブの海が、住民たちの命を支えています

森を守ることが、暮らしの安定につながっています