ベトナム
ベトナムでのマングローブ植林プロジェクトは20年以上が経過し、大きなマングローブ林が広がっています。今後は防災効果が期待される沿岸部などに植林を行うため、適正な樹種を見極めるための試験植林や、劣化した植林地の再生などの保全活動にも力を入れることにしています。
マングローブ植林活動レポート
植林したマングローブの様子
ベトナムでは、1999年からNGO「マングローブ植林行動計画(アクトマン)」が、MERD(ベトナム国家大学マングローブ生態系研究センター)および、現地の住民のみなさんとともに、マングローブ植林事業を実施しています。伐採を前提とした木材生産ではなく、防災林や環境林など沿岸部の保護林の造成を主な目標としています。これにより生態系が回復し、地域住民は恩恵を受けることができます。
- 2020年度の植林面積 35ヘクタール
- 累積植林面積 1,798ヘクタール
マングローブ植林活動状況
2020年度は引き続き、ベトナム北部にあるクアンニン省ティエンイエン郡ドンズイ村で、養殖池跡地2カ所30ヘクタールに、ヤエヤマヒルギ30万本を植えました。新型コロナウイルスの影響で、植林時期を3カ月延期し、樹種をメヒルギからヤエヤマヒルギに変更しましたが、問題なく植林活動を実施できました。こちらは植えた種子の9割以上が発芽し、8割以上が順調に生育しています。
また、ホン河の河口域に広がるクアンイエン市ハアン村では、5ヘクタールの植林地にベニマヤプシキ2,500本を植えました。波風による苗の揺さぶり被害を軽減するため、植えた苗を竹の支柱で固定しました。MERD(ベトナム国家大学マングローブ生態系研究センター)の現地調査により、7~8割の苗の活着を確認しています。
植林地の様子
引き続き、2種類の育苗試験を実施しています。1つは、ベトナム北部での希少種、ホウガンヒルギ、サキシマスオウノキの育苗です。将来的には、植林用の種子を供給できる採種林の造林を目指しています。
もう1つは、塩分濃度が高い海水域での低地盤高に耐性がありそうな、ヒルギダマシ、ツノヤブコウジの育苗です。食害などによる影響で、思うような結果が得られませんでした。今後、設置場所と地盤高を検討し直して再試験する予定です。