ベトナム

ベトナムでのマングローブ植林プロジェクトは20年以上が経過し、大きなマングローブ林が広がっています。今後は防災効果が期待される沿岸部などに植林を行うため、適正な樹種を見極めるための試験植林や、劣化した植林地の再生などの保全活動にも力を入れることにしています。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

ベトナムでは、1999年からNGO「マングローブ植林行動計画(アクトマン)」が、MERD(ベトナム国家大学マングローブ生態系研究センター)および、現地の住民のみなさんとともに、マングローブ植林事業を実施しています。伐採を前提とした木材生産ではなく、防災林や環境林など沿岸部の保護林の造成を主な目標としています。これにより生態系が回復し、地域住民は恩恵を受けることができます。

  • 2021年度の植林面積 10ヘクタール
  • 累積植林面積 1,808ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2021年度は、ベトナム南部メコンデルタの沿岸中央部に位置するソクチャン省ヴィンチャウ市で、植林活動を行いました。

ベトナム北部でも植えていたベニマヤプシキの鉢苗を、同じソクチャン省チャンデーにある苗床から現場近くまでトラックで運搬し、さらに満潮を利用して、発泡スチロールの浮きで干潟まで運びました。そして、干潮時に10ヘクタールの泥干潟へ、1万1,000本のベニマヤプシキを植えました。また、苗木の流失や風波による被害軽減のため、竹の支柱も設置しました。

植栽から9カ月後の時点で、苗の活着率は4割~7割、平均で5割程度となります。新しい葉を展開して、順調な生育といえます。

発泡スチロールの浮きで植林現場まで苗を運ぶ様子

泥干潟で苗を植え付けしている様子

植林から9カ月経過したベニマヤプシキ

植林地の様子

ソクチャン省森林保全管理局から、ヴィンチャウ市にある遠浅の干潟へ、マングローブを植えてほしいという要望がありました。南シナ海に面した村々を守る自然の防波堤として、マングローブの防災林を造成することが目的です。併せて、魚介類資源の増加により、地域経済の発展効果も期待できます。

今回植えたベニマヤプシキは、一般的に耐塩性が弱く河川や河口域に自生する樹種として知られています。そのため、沿岸部の同地区での植栽には向かないと考えられていました。しかし、同地区で2018年の保全活動事業で実施した小規模な試験植栽では、予想に反して8割が活着し、人の背丈を超えるほど育ち、花も咲いたのです。このときの結果を踏まえて、2021年度もベニマヤプシキの鉢苗を植えることを決めました。

2018年7月に、試しに植えたベニマヤプシキ苗30鉢

2年後、人の背丈を超えて育ったベニマヤプシキ