ベトナム

ベトナムでのマングローブ植林プロジェクトは20年以上が経過し、大きなマングローブ林が広がっています。ベトナム北部から中部、まれに南部も台風による高潮被害にみまわれるため、マングローブ林は天然の防波堤としての大きな役割が期待されています。今後は防災効果が期待される沿岸部などに植林を行うため、適正な樹種を見極めるための試験植林や、劣化した植林地の再生などの保全活動に力を入れることにしています。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

ベトナムでは、1999年からNGO「マングローブ植林行動計画(アクトマン)」が、MERD(ベトナム国家大学マングローブ生態系研究センター)および、現地の住民のみなさんとともに、マングローブ植林事業を実施しています。伐採を前提とした木材生産ではなく、防災林や環境林など沿岸部の保護林の造成を主な目標としています。これにより生態系が回復し、地域住民は恩恵を受けることができます。

  • 2024年度の植林面積 33ヘクタール
  • 累積植林面積 1,866ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2024年4月に、ベトナム北部クアンニン省ハイハー郡クアンホン村の、海岸堤防前にある植林地20ヘクタールに、13万3,400本のヤエヤマヒルギの種子を植えました。作業にはクアンホン村の村人とMERDが参加しました。また、9月には植えたヤエヤマヒルギの成育状況をモニタリングしました。

ベトナム南部ソクチャン省ヴィンチャウ市では、2024年の6月と8月にウラジロヒルギダマシの鉢苗を、2カ所合計13ヘクタールの植林地に植えました。ここでは、苗木の流失や風波による揺さぶりを軽減するため、竹の支柱を苗に添えています。当初10ヘクタールに植える予定でしたが、余った苗木が3ヘクタール分あったため、計画よりも3ヘクタール多くウラジロヒルギダマシを植えました。

クアンホン村の植林1か月後のヤエヤマヒルギの様子

苗場から植林地へマングローブの苗を運搬している様子

ヴィンチャウ市の植林地で、ウラジロヒルギダマシの鉢苗を植えている様子

植林地の様子

植林活動の準備や指導、植林地の調査などの作業は、NGO「アクトマン」の駐在員とMERDスタッフが中心となって行います。それらの支援、マングローブの生育や事業の評価、行政や協力団体との協議などのために、2024年度は日本からアクトマンのスタッフを2回派遣しました。

クアンニン省ハイハー郡の植林地に、2015年に植えたマングローブの様子

干潟で採取された貝は、仲買人が買い付けます

ホーチミン郊外カンザーのマングローブ林の視察

今後の活動予定

次年度は、マングローブの植林活動は計画されていませんが、現地調査は継続していきます。主な作業は、植林地の選定と植林計画の策定です。