フィリピン

フィリピン・ルソン島は、外洋に面していて巨大な波と高潮の影響を受けやすい地形です。植林地ホセ・パンガニバンでは、かつて金・銅・鉄などの鉱山により栄えましたが、岩盤採掘により、川や沿岸の海に汚染土壌が流出、蓄積し環境に悪影響を与えています。土壌流出や自然災害による被害から人々とその生活を守る意味で重要なプロジェクトです。

マングローブ植林活動レポート

植林したマングローブの様子

フィリピンでは、1999年よりNGO「オイスカ」が中心となり、マングローブ植林活動を実施しています。高潮などの自然災害から人々を守ることを目的としています。

  • 2023年度の植林面積 40ヘクタール
  • 累積植林面積 1,036ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2023年度は2カ所で植林活動を行いました。

1つ目は、ケソン州カラウアグのダプダプ地区です。この地区では、放棄された養殖池と沿岸地域の合計10ヘクタールに、25,000本のマングローブを植えました。また、ケソン州南部の2022年度の植林地であるサンフランシスコのカサイ地区においても、ポット苗1,000本を補植しました。

2つ目は、北カマリネス州カブサオのパンダン地区です。この地区には広大な湿地帯があり、カブサオ自治体と天然環境資源省(DENR)は、この湿地帯をエコツーリズム、特にバードウォッチングの拠点として推進しています。重要な管理と保全が求められる生息地としても宣言されていますが、依然としてマングローブの違法伐採事例が報告されており、再生が急務となっています。そのため、DENRにより正式にマングローブ植林地と指定された約30ヘクタールに、75,000本のマングローブを植えました。

ダプダプ地区の植林活動には、多くの女性が参加していました

ダプダプ地区の放置された養殖池に植えたマングローブ

パンダン地区の植林地でマングローブを植えている様子

植林地の様子

植林したマングローブを数カ月後に調査した結果、2カ所の植林地ともに、多くの苗が順調に成長していることが確認されました。特にダプダプ地区は、順調に苗が育っていることで、住民のマングローブ保全に対する認識が向上しつつあり、良い効果が得られています。

また、パンダン地区の植林地で、モニタリング中に渡り鳥の飛来が確認されました。これは、湿地帯のユニークな生物多様性の証です。10月から2月までの冬の間、餌をとったり休んだりするために多くの渡り鳥や水鳥たちが集まります。湿地帯の保全はこれらの鳥たちにとって極めて重要です。DENRとカブサオの自治体は、湿地帯をエコツーリズムの、特にバードウォッチング活動の場として促進・保全していくことを計画しています。

ダプダプ地区に植えてから6カ月後のマングローブ

パンダン地区に植えてから3カ月半後のマングローブ

今後の活動予定

次年度は、ケソン州タッカワヤン、南カマリネス州ラガイで、合計17ヘクタールの植林を予定しています。