ベトナム

ベトナムでのマングローブ植林プロジェクトは20年が経過し、大きなマングローブ林が広がっています。今後は防災効果が期待される沿岸部などに植林を行うため、適正な樹種を見極めるための試験植林や、劣化した植林地の再生などの保全活動にも力を入れることにしています。

マングローブ植林活動レポート

ベトナムでは、1999年からNGO「マングローブ植林行動計画(アクトマン)」が、MERD(ベトナム国家大学マングローブ生態系研究センター)および、現地の住民のみなさんとともに、マングローブ植林事業を実施しています。伐採を前提とした木材生産ではなく、防災林や環境林など沿岸部の保護林の造成を主な目標としています。これにより生態系が回復し、地域住民は恩恵を受けることができます。

  • 2019年度の植林面積 30ヘクタール
  • 累積植林面積 1,763ヘクタール

マングローブ植林活動状況

2019年度は引き続き、ベトナム北部にあるクアンニン省ティエンイエン郡ドンズイ村で、養殖池跡地の干潟30ヘクタールに、地元産のメヒルギ種子を直接植えました。

この地での植林の目的は、以前干潟を養殖池にしたことで伐採されたり、溺れて枯れたりしたマングローブ林、およびその生態系の再生です。各種貝類やホシムシ、ドロアワモチなど、森が育む魚介類が増えれば、それらの採取活動で生計を立てている村人の生活向上につながります。同時に、四方を海に囲まれた村を守る、海岸堤防の保護にもつながるはずです。

ドンズイ村でのメヒルギ種子の直植えの様子

植林から4カ月後のメヒルギの様子

7カ月後の様子。早いものは5節、葉数10枚ほどに成長

植林地の様子

今年度から2種類の育苗試験を実施しています。1つは、ベトナム北部で生育数が少ない希少種のマングローブ樹種、ホウガンヒルギ、サキシマスオウノキの育苗です。

9月にホウガンヒルギの種子12個を植えたところ、12月に1株が新しい葉を付けました。また、2018年12月に採種したサキシマスオウノキの種子は、陸上の淡水環境ではありますが、発芽生育に成功しました。

もう1つは、塩分濃度が高いベトナム北部沿岸の低地盤高に耐性がありそうな2種類のマングローブ樹種、ヒルギダマシ、ツノヤブコウジの育苗です。

どちらも9月に300個の種子を100鉢に播きました。カニなどの小動物の食害を受けたものの、3カ月後にはヒルギダマシは8割以上、ツノヤブコウジは3割以上の発芽生育が見られました。

ホウガンヒルギの育苗試験

ヒルギダマシの育苗試験

ツノヤブコウジの育苗試験