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マングローブの種類

代表的なマングローブ(1)ヤエヤマヒルギ

ヤエヤマヒルギの分布の北限(世界分布の北限)は沖縄島慶佐次川です。

アフリカ大陸東岸のケニアやタンザニア、東南アジアの多くの国々、フィジーやキリバスなどの太平洋島嶼国、オーストラリアにも分布しています。花弁(花びら)は白くてあまり目立ちません。

代表的なマングローブ(2)オヒルギ

オヒルギは別名をアカバナヒルギと呼ばれますが、赤いのは花弁の外側にある萼片(がくへん)で、花弁は白色あるいはクリーム色、時にやや褐色を帯びます。もし、オヒルギの花を見かけることがあったら、花弁が赤いのか、萼片が赤いのかを確かめてみてください。

分布の北限は奄美大島です。オヒルギの仲間には、ヒメヒルギ、シロバナヒルギなどがありますが、この仲間はアジア・太平洋地域に分布しており、中南米や北アメリカ大陸には分布していません。

代表的なマングローブ(3)メヒルギ

メヒルギの北限は鹿児島市です。鹿児島市には天然記念物に指定されている場所があります。メヒルギには、リュウキュウコウガイという別名があります。これは胎生芽(散布体)の形が、沖縄のかんざし「ジーファー」、すなわちコウガイ(笄)に似ていたことから、このような名前がついたのかもしれません。

伊豆半島には、種子島から移植されたものが成長して花を咲かせています。メヒルギはこれまで1種類と考えられていたのですが、ミャンマーなどのメヒルギは葉や胎生芽(散布体)の大きさが違うので、別の種類として分類されました。しかし、新しく分類された種類には、まだ和名がついていません。

代表的なマングローブ(4)ホソバマヤプシキ(ベニマヤプシキ)

この写真は、ホソバマヤプシキです。日本にあるのはマヤプシキで、ホソバマヤプシキはありません。マヤプシキとホソバマヤプシキは葉の形や花の色が違うので、慣れると簡単に見分けることができます。

マヤプシキは、別名ハマザクロと呼ばれ、ザクロ(石榴)や柿のような果実をつけますが、ザクロの仲間ではありません。

沖縄の方言ではマヤは猫、プシは節、キは木のことなので、意味としては「猫の関節の木」になります。1つの果実の中にとても小さな(数mm程度)種が200~300個入っています。

花は、昼間ではなくて夜間に咲きます。花には花弁がないことが多く、白く咲いているのは雄しべです。マヤプシキは日本国内では、石垣島、西表島、小浜島などに生息しています。しかし、石垣島ではわずかしか残っておらず、絶滅が危惧されています。

代表的なマングローブ(5)ニッパヤシ

日本でニッパヤシがあるのは西表島の船浦湾と内離島だけです。西表島の中でも船浦湾のヤシ川のものは天然記念物に指定されています。

ニッパヤシは、塩分濃度が薄くほとんど淡水に近い立地条件の場所を好んで生育しています。地面から葉だけが出ており、その長さは5mを越えることがあります。

ニッパヤシの葉を簡単に編んだものは屋根や壁を葺(ふ)く材料にします。パイナップルの実よりも大きく、ゴツゴツしています。この果実から砂糖を生産したり、お酒を作ったりします。

昔、日本の家の屋根が茅葺き(かやぶき)であったのをイメージすると分かりやすいかもしれませんが、熱帯アジアのマングローブ林に住む人々にとって、ニッパヤシの葉は、今日でも家の屋根や壁を葺く材料として重要です。

熱帯アジアのマングローブ林に行くと、最近ではニッパヤシの葉で葺いた屋根の代わりに、合成樹脂の波状の板が使われはじめているのが目立ちます。合成樹脂は腐りませんが、ニッパヤシの葉は腐るので、自然に優しい材料です。

代表的なマングローブ(6)シマシラキ

シマシラキは、別名オキナワジンコウと呼ばれます。沈香(ジンコウ)とは熱帯アジア原産の香木のことですから、香木として利用されたことがあるのかもしれません。樹液は乳白色で毒があり目に入ると目が腫れたりするので、むやみに枝を折ったり、葉を取ったりしない方が良いでしょう。

紅葉するので、マングローブ林の中で紅葉している木を見つけたら、もしかするとシマシラキかもしれません。

なお、沖縄県内にはマングローブ林にではなくて山裾(やますそ)などにシマシラキと同じように紅葉するウルシの仲間のハゼノキも生えています。ウルシにかぶれる人は、きれいに紅葉している木だからといって、やたらに触らない方が良いかも知れません。

マングローブの種類

マングローブは熱帯・亜熱帯地域の沿岸、すなわち汽水域に分布していますが、マングローブが何種類あるのかということについては、今日でも研究者によって異なり、正確に何種類であるかということがまだ確定していません。

マングローブの不思議