関連情報 用語集
貨物・運送の保険に関する用語
- 保険契約者・被保険者
- 保険期間
- 保険の目的
- 保険価額と保険金額
- 輸送用具
- てん補の範囲
- 戦争危険(WAR RISK)
- 保険証券
- Rider
- Debit Note
- Marine Quotation
- 保険料率・保険料
- 予定保険契約と確定保険
- 信用状
- 共同海損
- 全損と分損
- 求償
- Duty Insurance
- Institute Classification Clause(協会船級約款)
保険契約者・被保険者
- 保険契約者
- 保険契約の当事者として、保険契約を締結し、かつ保険料を支払う義務を負う人をいいます。
- 被保険者(AssuredまたはInsured)
- 保険の受益者であり、貨物その他これに準ずるものが海上危険・陸上危険によって滅失したり損傷を受けた場合にその滅失または損傷によって経済的な損失を被る立場にある人をいいます。また、被保険者は保険契約上の権利すなわち損害てん補請求権(保険金支払請求権)を有します。
なお、英法では保険契約者という概念がなく、被保険者の代理人と位置付けられており英文海上保険証券においては証券の譲渡を前提として保険契約者名をAssuredの欄に記載することが広く行われています。
保険期間
保険会社が保険契約にもとづいて危険を負担する責任を負う期間をいいます。
航海を単位としてお引き受けする方法を航海建(voyage policy)、1か年または6か月等一定の期間を単位としてその期間内に発送される貨物の保険を包括的にお引受する方法を期間建(time policy)といいます。
外航貨物海上保険における保険会社のてん補責任の始終について、原則として「貨物が積出地の倉庫その他の保管場所において、輸送の目的をもって初めて動かされたときから、通常の輸送過程にある間継続し、仕向地の倉庫その他の保管場所で荷卸しが完了したときまで」と定めています。なお、最終仕向地到着前でも、仕分けもしくは配送或いは保管そのものを目的として中間倉庫に搬入されたり、最終荷卸港(航空便の場合は空港)での荷卸しから60日間(航空便の場合は30日)経過した場合は、その時点で終了することとなっています。
同様の考え方は内航貨物海上保険・運送保険でも採用されており、貨物保険の保険期間についての基本的な考え方となっています。
外航貨物海上保険は、航海建でのお引き受けが大半を占めており、内航貨物海上保険や運送保険は期間建や航海建でお引き受けをしています。
保険の目的
海上危険や陸上危険によって、滅失したり損傷を受けるおそれのある保険の対象物を保険の目的といいます。一般の貨物保険の場合は、貨物そのものを指します。
保険価額と保険金額
- 保険価額
- 被保険利益を金銭に見積もった価額をいいます。一般の貨物保険につける貨物の市価とも言えます。貨物保険では保険契約締結の際に、保険会社と被保険者との間で協定されるのが一般的であり、保険価額は保険期間中は変動しません。
- 保険金額
- 保険会社が1回の事故につきてん補責任を負う金額の最高限度額をいいます。保険料も原則として保険金額を基準としてその何パーセントという方法で算出されます。保険金額は保険価額と同額であるのが最も一般的です。
保険金額が保険価額を超過する保険を超過保険といい、その超過部分は無効になります。また、逆に保険金額が保険価額に達しない保険を一部保険といい、損害の一部は被保険者自身で負担しなければなりません。従いまして、保険価額いっぱいに保険金額を設定することが必要になります。
輸送用具
貨物の輸送に用いられる輸送機関の総称をいいます。船舶、鉄道車輛、トラック、はしけ等を含みますが、パイプ・ライン、コンベヤー、ウィンチ、ホイスト、ジャッキ、クレーン、スリング、コロ等の荷役機器は含まれません。
てん補の範囲
保険の目的である貨物が海上危険や陸上危険に遭遇して損害が発生した場合、どのような場合にどのように保険会社が保険金をお支払いするかを定めているのがてん補の範囲です。
担保条件(Condition)という場合もあります。
外航貨物海上保険の場合の基本的なてん補の範囲は以下のとおりです。
- ICC(A)・ICC(Air)
- 保険の目的の固有の欠陥または性質および遅延等による損害を除いて、すべての危険を担保するものです。
- ICC(B)
- 火災、爆発、輸送用具の事故等による損害の他に海・湖・河川の水の浸入による損害等をてん補します。
- ICC(C)
- 火災、爆発、または船舶・貨車・自動車等の輸送用具の沈没・座礁・座州・衝突・脱線・転覆・墜落等の危険をてん補します。
内航貨物海上保険や運送保険の場合は以下のとおりです。
- オールリスク担保
- 保険の目的の固有の欠陥または性質および遅延等による損害を除いて、すべての危険を担保するものです。
- 特定危険担保
- 火災、爆発、輸送用具の衝突、転覆、脱線、墜落、不時着、沈没、座礁、座州の海上危険、陸上危険または航空危険等をてん補します。
戦争危険(WAR RISK)
戦争危険。戦争、変乱状態において行われる捕獲、抑留といった事故、砲撃、空襲といった戦闘行為の結果等の危険をいいます。
マリン・リスク(海上危険)に対応してウォー・リスクという場合には、狭義の戦争危険(Institute War Clauses により担保される危険)のほかにストライキ危険(Institute Strikes Clauses により担保される危険)を含みます。
保険証券
保険会社が保険契約の証拠として発行するのが保険証券です。印刷され、保険会社のサインのある書類で、保険金額、担保条件、責任の始終、保険の目的、数量、等が記載されています。
外航貨物海上保険の場合、おもに輸出契約において保険証券が発行され、船積書類の一つとして、船荷証券、インボイスとともに、買取銀行に提出されます。
輸入契約においては保険承認状(Certificate of Insurance)等の簡易式の書状に代用される場合もありますが、これらも保険証券と同じように扱われています。
なお、外航貨物海上保険においては、英文の保険証券が発行されます。
Rider
外航貨物海上保険のお引受で、保険証券の発行後に、保険証券の記載事項に変更、訂正が生じた場合に発行される「追約書」のことをいいます。
Debit Note
外航貨物海上保険のお引受の際に発行する英文の保険料請求書。この書類に基づいて、保険料をお支払い頂きます。輸入の場合には、通関の際の貨物保険料を示す保険料明細書としても使用されている。
Marine Quotation
外航貨物海上保険でお客様に料率をご提示するときに使用する見積書のことをいいます。一般に英文で作成されます。
保険料率・保険料
- 保険料率
- 保険料率は、次のような要素を総合的に勘案して算出されます。
- (1)輸送用具
- (2)輸送区間・輸送時期
- (3)貨物の種類・性質・状態
- (4)荷姿
- (5)過去のお客様の引き受け保険成績
- (6)てん補の範囲
- (7)保険価額
- (1)
- 保険料
- 保険契約者により保険会社に支払われる保険会社の危険負担に対する対価(報酬)をいいます。 一般的に保険金額に保険料率を乗じて算出されます。
予定保険契約と確定保険
貨物保険契約を締結しようとするとき、船積みや輸送が開始する時に貨物の数量、保険金額、積載船名等が未詳である場合があります。
このような場合に船名未詳のまま、数量・金額については概算額で締結をする契約が「予定保険契約」です。
特にFOB輸入やCFR輸入の場合は、買手にとって、売手から船積み情報が来ない限り詳細が分からず、多くは船積み後に詳細が連絡されますので、輸送前に保険手配ができず、無保険状態にさらされるという事情があります。そのために予定保険契約は有効な方法と言えます。
貨物保険契約は、1船積みまたは1輸送ごとに締結するのが原則ですが、予定保険契約は、個々の船積みごと・輸送ごとに締結をされてもよいですし、長期にわたり継続的に積出される貨物については、予め包括的に締結する方法(包括予定保険契約)も可能です。
信用状
Letter of Credit。買主の依頼で買主の取引銀行が発行する書類です。信用状に記載されている条件を満たせば、買主の取引銀行が買主の支払いを保証するという銀行による代金支払いの確約書をいいます。記載事項は国際的な統一基準があります。
共同海損
船舶の座礁・衝突・火災等の事故により、船舶と貨物が共同の危険にさらされたとき、この共同の危険を免れるために船長の判断で任意に船舶あるいは貨物の一部を犠牲に供したり、救助費等の費用を支出したりして、応急処置をとる場合があります。この場合に犠牲に供された物の損害や支出した費用を、これにより利益を受けた船舶・貨物の所有者が共同して分担する制度をいいます。
全損と分損
- 全損
-
全損は、「絶対全損」と「推定全損」の2種類に分けられますが、いずれの場合も保険証券上の保険金額をお支払することとなります。
「絶対全損」
貨物を積んだ船が沈没し全く救助不可能である場合や冷凍貨物が完全に解凍・腐敗して全く使用できない場合(貨物の性質が完全に変わってしまい、保険に付けられた種類の物ではなくなってしまう様な場合)、船や航空機が相当な期間以上消息を断った場合等がこれに該当します。「推定全損」
航海中に本船が損傷を被り修理できないため、そこで航海を打ち切ってしまった様なケースで、貨物をそこから仕向地へ輸送する費用が貨物の価値を超える場合がこれに該当します。 - 分損
-
分損とは、貨物の一部分に損害が生じた場合を言いますが、以下の損害・費用につき保険金をお支払いします。
- (1)単独海損
荷主が単独に負担すべき損害のうち、全損でないもので、共同海損損害でないものをいいます。
- (2)
- (3)特別費用
貨物の安全または保存のため、被保険者によってまたは被保険者のために支出された費用で、共同海損や救助料以外のものをいいます。
- (4)救助料
契約に基づかないで海難救助が行われた場合、海法上救助者が回収することができる費用をいいます。
- (5)損害防止費用
保険証券によって担保されている損害を避けるために正当に支出した費用をいいます。
- (6)その他の費用
保険会社が負うてん補責任の損害について証明するための検査報告書の費用およびこれらに付随する費用をいいます。
- (1)
求償
本来の意味は、損害賠償を求めることですが、一般に保険上は第三者(船会社、運送人等)の過失によって生じた損害に対して保険金を支払った保険会社が荷主に代わって損害賠償を請求することをいいます。正確には代位求償といいます。
Duty Insurance
輸入税の保険。
輸入税は輸入地で荷主に課せられますが、海難事故にあったため、損傷を被った状態で貨物が輸入地に到着した場合、必ずしもその損傷程度に応じて輸入税が減額されるとは限りません。このため不測の損害に備えて、輸入税も保険の対象になります。
通常、貨物自体の保険と同一の証券でお引き受けし、Duty clauseを適用します。
Institute Classification Clause(協会船級約款)
保険会社が提示する料率は、貨物が優良な船舶に積載されることが前提となっております。この優良な船舶の資格を規定しているのが、船級約款です。
協定船級約款(2001年1月1日付)によれば、国際船級協会連合(IACS)の正会員または準会員である船級協会から船級(CLASS)を付与された機械的自力推進力を持つ鋼鉄製船舶であって、船型ごとに定めた船齢制限を充足する船舶をAPPROVED VESSELとしています。