運送人等への損害賠償請求
事故が発生した輸送に対し責任を負っている運送人ほかへの損害賠償請求
貨物を荷主より預かり輸送・保管を行う者(以下運送人と呼びます)は運送・受諾契約等に基づき、受け取った貨物を安全に目的地に輸送し、荷主に引き渡す義務を負っています。
従って、貨物に損害が発生し、その原因が運送人にある場合には、荷主はこれらの契約に基づき運送人に損害賠償請求をすることが出来ます。
この損害賠償責任は、荷主が保険を手配していたからと言って消滅してしまうものではありません。
荷主が、ある損害について保険会社から保険金を受け取った場合、この損害に関する損害賠償請求権は保険会社が荷主に代わって取得することになっており、保険会社は取得した権利を行使して運送人に損害賠償の請求を行います。
これを代位求償といい、保険会社は保険金支払い時にお客さまが署名した権利移転領収書(Subrogation Receipt)の提出を受け、運送人に損害賠償請求を行います。
保険会社がこの代位求償を行うことは、次の2つの意味があります。
- 回収金額がある場合には、お支払い金額から回収金額を控除して保険成績を計算いたします。
これによりお客さまの保険成績が、回収金の部分につき良くなります。 - 求償活動を通じて、事故を起こした第三者に対する注意喚起となり、お客さまの貨物の荷扱いの改善等につながります。
ご注意頂く事項
事故発生時には、この求償権を保全するため次の3点を行う必要があります。
- (1)運送人から貨物を引き取る際に、損害の存在が判明していたり、外観から損害の発生が疑われる場合には、受け渡し書類に必ず異常の有無(リマーク)についての記載があるかご確認頂き、ない場合は運送人に対して記載を求めてください。
- (2)運送人に対して、直ちに書面で事故通知を出状してください。
- (3)保険金請求に必要な書類を遅滞なく提出してください。止むを得ない事情により運送人の責任の時効(これを「出訴期限」と呼びます)が切迫してから保険金請求に必要な書類を提出する場合には、必ず運送人から書面で出訴期限の延長に関する同意を得てください。
(一般的な運送人の責任に関する出訴期限は、国際海上物品運送の場合は貨物の引き渡し、あるいは引き渡しをすべき日から1年、航空運送の場合は2年です。)