損害サービスの流れ
救助
救助契約の種類
救助契約には大きく分けて以下の二つの形態があります。
- (1)不成功無報酬契約(No Cure No Pay契約)
救助が不成功の場合には、救助業者の支出した作業費はもちろん、一切の報酬は支払わないが、救助が成功したときは、救助完了後その作業内容の難易度・危険の度合い・救助された財産の価額などの要素に応じて適当と認められる報酬を支払うという契約です。これは最も一般的で基本的な救助契約の形態であり、世界各国で用いられています。その代表的なものはロイズ救助契約標準書式(Lloyd's Standard Form of Salvage Agreement)です。これは、救助に成功した場合の報酬額をブランクにしておき、後日ロンドンにおける仲裁によって報酬を決定する書式となっておりますので、通称Lloyd's Open Form(L.O.F.)と呼ばれています。もちろん両者が合意すれば、仲裁に掛けずに両者の話し合いで救助費を決定することもできます。また、最近の海洋汚染防止に対する意識の高まりとともに、船体や積荷が全損になる可能性が高く救助業者が救助作業の着手を逡巡する場合でも、救助業者に救助作業を遂行させる代わりに、救助が不成功に終わった場合でも一定の補償を与える制度であるSpecial Compensation P & I Clause (SCOPIC)がL.O.F.1990から取り入れられた後、1995年、2000年、2011年、2020年と改訂を重ねる度に次第に当該補償部分の拡大や制度内容の拡充が行われてきております。なお、後述の日本海運集会所の救助契約書では「特別補償に関する特約条項」がSCOPICに該当します。
SCOPICの詳細につきましては、添付の東京海上マリンニュースをご参照ください。L.O.F.(L.O.F.2011)の書式は添付の通りです。
L.O.F.(L.O.F.2020)の書式は以下の通りです。
掲載元は、こちらをご参照ください。
LOF2020の制定につきましては、こちらをご覧ください。
通常は救助現場において船長にサインを求められますが、L.O.F.にサインされる前には必ず事前に弊社へご相談ください。それは、(1)No Cure No Pay契約は救助成功の見込みが必ずしも明らかでない場合を想定したもので、簡単でしかも救助成功の見通しが明るいケースにまでこの形式を用いることは救助される側(船主・荷主等)にとっては費用面で極めて高いものにつく契約であること、および(2)救助完了にあたり担保の提供を求められますが、業者によっては法外な担保を要求し、これを拒むと船舶・積荷を引き渡してくれないこと等、業者の選定には特に注意しなければならないからです。
一方、日本には日本海運集会所制定の救助契約書(No Cure No Pay)があり、国内における救助作業を国内の救助業者と契約する場合には、この書式によることが通例です。L.O.F.との相違点は、L.O.F.がロンドンでの仲裁によって救助報酬を決定するのを原則としているのに対し、日本海運集会所の書式は両者の話し合いにより救助報酬を決定することを原則とし、協議が整わない場合には日本海運集会所の斡旋を求め、斡旋も不調に終わった場合には、更に仲裁を求めることができるとしている点です。
現行の日本海運集会所の救助契約書式は添付の通りです。 - (2)定額補償契約
この契約は、救助の成功・不成功にかかわりなく、予め協定した金額を支払う契約です。港湾や河川等の比較的安全な場所での単純作業や、危険度の小さい曳航作業等に用いられます。契約のしかたによってDaily Hire方式(日建ていくらとするもの)、Lump Sum方式(総額でいくらとするもの)があります。
保険金のご請求に必要な書類
(詳細につきましては弊社にご確認ください)
保険金をお支払いする際には下記の書類が必要となります。なお、事件によっては他の書類が必要となる場合があります。
- 保険金請求書
- 救助費精算書
- 海難報告書
MM00-MG01-09013-2009年6月作成