外航貨物海上保険
補償内容
保険金をお支払いする主な場合
外航貨物海上保険では、基本的な保険条件(普通保険約款)は3つに分かれており、保険金をお支払いする主な損害・事故をまとめると下表のようになります。
なお、損害が発生した場合に保険会社に保険金を支払う責任があるか、また責任がある場合はどのようにして精算するか、という2点についての準拠法は英国法になります。
事故の種類 | 保険条件 | ||
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ICC(A)+ War & S.R.C.C. |
ICC(B)+ War & S.R.C.C. |
ICC(C)+ War & S.R.C.C. |
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火災・爆発 | |||
船舶または艀の沈没・座礁 | |||
陸上輸送用具の転覆・脱線 | |||
輸送用具の衝突 | |||
積込・荷卸の際の水没または落下による梱包1個毎の全損 | |||
海・湖・河川の水の輸送用具・保管場所等への浸入 | |||
地震・噴火・雷 | |||
共同海損(分担額)・救助料 | |||
その他の損害
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戦争(宣戦の有無を問わない)、内乱、捕獲、だ捕 | |||
ストライキ(職場閉鎖を受けている労働者・労働紛争・暴動に加わっている者によるもの等) |
保険金をお支払いできない主な場合
- 腐敗、変質、錆等貨物の固有の欠陥・性質による損害
- 被保険者が関与した荷造り・梱包・積付けが不完全であったことで生じた損害
- 航海、運送の遅延による損害
- 被保険者の故意・違法行為による損害
- 間接損害(違約金、慰謝料等)
- 陸上輸送中・保管中の戦争危険による損害
- 通関時の検疫の結果、政府機関によって輸入不許可となった場合の損害
- 原子力危険による損害
- 化学・生物・生物化学・電磁気兵器による損害
- 通常の輸送過程にあたらない保管期間中のテロによる損害
- 被保険者がISMコード不適合の船舶と知りうる立場にありながら、そのような船舶で輸送された場合に生じた貨物の損害
- 保険のお引受けや保険金のお支払い等により保険者が国際連合他の定める制裁等を受ける可能性がある場合
- サイバー攻撃によって生じた損害
等
- ※ここでは主な場合のみを記載しております。免責事由は特別約款の種類等によって異なりますので、詳細は「保険約款」でご確認ください。
戦争危険・ストライキ等危険
戦争危険およびストライキ等危険は、いずれも世界情勢の刻々の変化に左右されるため予測が極めて困難であるということと、発生となればその被害が甚大なものになるという理由で、普通保険約款では免責とし、別途の特別約款により担保するという形式をとっております。
保険期間
保険会社が責任を負担する期間を保険期間といいます。
外航貨物海上保険の保険期間は、「貨物が保険証券記載の仕出地の倉庫・その他の保管場所において、輸送の目的をもって初めて動かされた時に開始し、保険証券記載の仕向地にある最終倉庫・その他の保管場所で荷卸しが完了した時に終了する」ことになっています。
但し、
- 1.航洋本船からの荷卸し完了後60日、または航空機からの荷卸し完了後30日を経過した場合
- 2.通常の輸送過程上の保管以外の保管または貨物の仕分け・配送のために、任意の倉庫または保管場所で荷卸しが完了した場合
- 3.被保険者もしくはその使用人が、保管のための保管のため輸送車両もしくはその他の輸送用具またはコンテナを使用することを選んだ場合
には、たとえまだ仕向地の最終倉庫で荷卸しが完了していなくともその時点で保険は終了します。
戦争危険については、上記と異なり原則として貨物が陸上にある間は補償されず、貨物を本船に積込んだ時から荷卸しされる時(または、本船最終荷卸港到着日の午後12時から起算して15日経過した時点のいずれか早い時)までが保険期間となります。
保険金額
保険金額とは、保険会社が1回の事故について保険金をお支払いする金額の上限額を言い、CIF価額の110%とするのが通常です。
FOB、CFR輸入の場合には、FOB価額にIとF、CFR価額にIをそれぞれ加算しCIF価額を算出し、これに10%を加算した額で付保するのが通常です。この保険料、保険金額は次の算式で計算することができます。