損害サービスの流れ
外航貨物海上保険
お支払金額の計算例
本章ではお支払いする保険金の計算方法を、損害書類ごとに具体的にご説明します。
1. 貨物が全損になった場合
例えば以下の場合が該当します。
- 貨物(またはその一部)が物理的に手直し不能である場合
- 手直しは物理的には可能であるが、コストが貨物価額を上回る場合(貨物価額に著しく乖離がある場合にはこの限りではありません)
- 輸送中の事故により貨物が不着となった場合
ただし、「物理的に手直し可能であり、コスト面でも貨物価額を上回らないが、品質保証上問題があるので手直しはしない」というような場合には、保険上は全損とはみなされませんので、この点ご留意ください。
[例]
缶詰100ケース(FOB価額US$100/ケース×50ケース + US$70/ケース × 50ケース = FOB 価額合計US$8,500、保険金額\1,200,000)を輸入したところ、以下が不着となった。
- US$100/ケース分:3ケース
- US$70/ケース分:2ケース
2. 貨物が分損の場合
例えば以下の場合が該当します。
- 海水濡れや冷凍コンテナの故障により貨物が損傷を被ったものの、格落ちで使用できる場合
- 機械が破損したが該当保険金額の範囲内で修理可能な場合
- 1. 費用損害
-
機械等が破損し修理を行った場合は、保険金額を限度にその修理費の実費をお支払いいたします。
なお、消費税につきましては、お客さまにて仕入税控除が可能な場合には実損とはならないため、原則お支払いの対象外とさせていただいております。
詳細につきましては弊社担当者までお問い合わせください。また、納期遅れによるペナルティや、交換済部品の廃棄費用等の間接損害はお支払いの対象外となります。
ただし、ご契約の内容によってはお支払いの対象となる費用損害もございますので、詳細は弊社担当者にご相談くださいますようお願いいたします。
- 2. 格落ち損害
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貨物が格落ちとなった場合は、該当保険金額に格落ちの割合を乗じてお支払いする金額を計算します。
格落ちの割合のことを「損率(Allowance)」と言い、次の計算式で求めます。[例]
牛肉10mt(保険金額¥1,500,000)を輸入したところ、コンテナの冷凍装置が故障して解凍損害を被り、2mt分の牛肉が劣化した。
この肉は損害が無ければ¥1,000/kgのところを¥600/kgでしか売れなかった。
なお、実際に損品を売却せずに、お客さま/弊社にてご相談の上、別途損率を協定させていただく場合もございます。
3. 関税保険がある場合
実際の関税額と関税保険金額のうちいずれか低い方を採用し、貨物保険金額に加算の上同様の計算を行います。
実際の関税額は輸入納税申告書により確認いたします。
なお、不着等の場合で実際に関税の支払いがなされなかった分については関税保険は適用外となります。
[例]
輸入貨物が海水濡れにより損率30%の損害を被った場合:
- 貨物保険金額\10,000,000
- 関税保険金額\1,000,000
- 実際の関税額\800,000
→関税保険金額\1,000,000>実際の関税額\800,000
→実際の関税額をお支払い保険金算出の際に採用
→お支払い保険金 = (貨物保険金\10,000,000 + 実際の関税額\800,000) × 損率30%
= \3,240,000
上記は、典型的な損害サービスの流れについて弊社が作成した架空の事故例を使用してご説明したものであり、実際のケースでは上記と異なる場合もございます。また、お支払いできる損害・費用も案件の個別事情・ご契約内容により異なりますので、具体的な案件につきましては必ず弊社担当者にご相談いただきますようお願い申し上げます。
8100-MG01-09007-2009年6月作成